相談された過去

アトツギ社長さんから「このクルマに乗りたいけど」と会社のクルマの相談があったのを思い出しました。会社所有のクルマであり、仕事用で社長が乗るクルマです。社長さん、そのとき40代でした。いろいろ議論しましたが、結局のところ4ドアハイブリット車(セダン)を選択。その後、まわりの先輩経営者さんら(60代)から、「自己資本比率は何%なの?」「30%超えるまでクルマにお金かけたらダメだよ」「個人の貯蓄はいくらあるの?」「・・・・万円貯めるまでは高級車ダメだからね」と言われたそうです。ハイブリットを選んで良かったと言っていました。まわりの判断はある意味正しいので、客観性を持ち続けることの重要さを感じた次第です。

体裁があるから

でも経営者感覚がない人もいます。そんな人は次のような傾向があります。
「体裁があるから」
といって見た目に不必要なお金をかける傾向があるのではないでしょうか。会社のクルマを選ぶときもそうです。走行距離が長くなる傾向にある会社のクルマは、本来なら燃費重視になるはず。また、荷物を運ぶ目的ならワンボックスなどになるはずです。しかし、ベテランになればなるほど、体裁重視で選ぶようです。「肩書きがある人は、それなりのクルマでなければならない」と自分で説明しているのです。これ、正しいのでしょうか。

基本と経営者マインド

ます、基本ですが、法人組織の会社(株式会社など)は、事業のための組織なので投資も事業のために使われるのが基本。体裁のために使うことは優先されていません。言い換えるならば、ビジネスに直結する投資しかないのです。外部株主がいるならば、「なぜそこに投資したのか」を指摘されるでしょう。クルマにお金をかけたなら、売上にどう影響しているのか、売上利益にどう直結しているのかを説明する責任があるのです。

また、経営者マインドならば、ムダな投資は控えて、その余力を次の新規事業に投資したくなるはず。ここ強調しておきたい部分です。少額でもいいから新規事業や新規ビジネスに投資したいのが経営者マインドの基本です。体裁にお金を使い始めたら、「この経営者は成長意欲なし」と外部からは判断されても否定できません。厳しいようですが、それが基本です。特に時代が動くときに、ムダな投資をする成長意欲のないリーダーがいる会社は、正直なところ数年後の将来は厳しくなるはずです。

判断の連続

経営は選択の連続ですが、たったひとつの買い物だけでも成長性は予見できるものなのです。要点を箇条書きでまとめました。

  1. 見た目に不必要なお金をかける傾向がある人もいる(体裁重視)
  2. 株式会社など法人組織は事業のための投資が基本
  3. 体裁のための投資は優先されるべきではない
  4. ビジネスに直結する投資のみが重要
  5. 外部株主がいる場合、ムダな投資は指摘される(説明責任)
  6. 経営者マインドならば、ムダな投資を控え、新規事業に投資するはず
  7. 体裁にお金を使うことは成長意欲のなさの表れと外部から判断される
  8. 時代が動くときに、成長意欲のないリーダーがいる会社の将来は厳しい

まとめ

会社の成長と発展のためには、経営者の判断ひとつで決まります。少しのスキも許されません。これは会社規模に関係なく同じだと考えています。実際に、リーダーの何気ない行動を指摘するスタッフの意見を聞くことがあるからです。先日も「どうして、あのようなことをするのか」という意見が耳に入ってきました。数人の組織でもそうなるのです。このようなちょっとしたところから会社の将来性が透けて見えてくるものです。そのような意見は貴重なので耳を傾けたいところです。

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