巨額損失確定か

農林中央金庫が1.5兆円規模の巨額損失を抱えているというニュースが報じられました。初期の報道より損失額が大きくなっています。さらに、この状況に対処するため、今後10兆円規模の外国債(主に米国債)を売却する可能性があるとの情報も流れています。この展開は金融市場に大きな影響を与える可能性があり、多くの注目を集めていますし、個人的にも気になっています。

損失の背景

金利上昇が債券保有機関に与える影響は深刻。金利が上昇すると、既に保有している債券の価値が下落し、結果として損失が発生します。米国や欧州の金利上昇によって既存債券の損失(下落)は2割から3割と推定されています。農林中央金庫も例外ではなく、保有し続けたことで損失が膨らんだと見られています。この状況は、米国で発生した銀行の破綻事例(3行)と酷似しています。

  • 金利上昇による債券の価値下落
  • 損失の拡大
  • 最終的な金融機関の経営危機につながるかも

農林中央金庫の損失規模は、リーマンショック時を超えるとされ、その深刻さが話題になっているのです。

対応策

当初、農林中央金庫の対応策として報じられていたのは

  1. 全国のJAからの資金集め
  2. それにより資本増強

でした。これは確実な対応策であり、資本が集まれば問題ありません。しかし、最新の報道では、10兆円規模の外国債売却が検討されているとあり、セカンドチョイスも考えていることがわかります。資本増強が未達に終わった場合のことも考えているのでしょう。この方針転換は、問題の緊急性が表面に出ていると思われます。全国のJAも経営は楽ではありません。簡単に集まるとは限らないのです。

市場への潜在的影響

セカンドチョイスである10兆円規模の外国債売却は、債券市場に大きな影響を与える可能性があります。規模が大きいからです。

  • 大量の売り注文による価格下落
  • 他の投資家による追随的な売却(売りを呼ぶ売りになる可能性)
  • 債券市場全体の不安定化

このため、農林中央金庫がどのようなスピードと方法で債券を売却するかが注目です。急激な売却は市場の混乱を招く恐れがある一方、緩やかな売却は損失の拡大リスクが続くというジレンマに直面しています。手腕が問われる状況です。

まとめ

債券はプロ同士の市場が大半であり、個人が債券を購入することは少ない。そんなプロ市場においてこのような巨大損失が発生するかもしれないことが発表されたのは大きな流れです。売却するまで損失は確定しませんが、米国などの金利は下がると言われていましたが、まだ下がる気配がありません。金利が下降するのを待っていたと思いますが、持ちこたえられないという判断がくだされたのです。都市銀行などは債券を売却し損失を確定させており、今後は問題ありません。しかし、他の金融機関はまだ保有しているところもあるので、同じような発表が出てくる可能性は否定できないと思います。こうした発表は突然出てくるので、今後も目が離せないと感じます。

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