人口減少80万人に

2023年度、日本の人口動態に関する統計データが発表されました。出生数は72.7万人、死亡数は157.5万人で、自然減は84.8万人に達しました。予想されていることですが、毎回減少幅の数字には驚きます。80万人都市が消滅したと想像するだけで、数字の大きさを理解することができるでしょう。政令指定都市は全国に20ありますが、その中の35%が80万人台以下。その規模が喪失しているわけです。この数字が示す問題は、経営にも大きな影響を及ぼす可能性があると考えています。

外せない

人口が減少すれば、必然的に労働力人口も減少します。しかし、興味深いことに、現在の就労者数はまだ大きく減っていません。これは、多くの高齢者が働き続けているからです。ただし、この状況がいつまでも続くとは限りません。そこで浮かび上がってくるのが、今後の企業経営における「採用」と「教育」の重要性。外せないポイントになっています。採用と教育が企業の明暗を分けることも今後は発生するでしょう。

採用

まず、採用について考えてみます。人口減少が進む中、優秀な人財を確保することは可能性が低くなっていきます。採用できなければ、企業の成長はおろか存続さえも危うくなるのは理解できるでしょう。また、たとえ採用できたとしても、人財を選ぶ余地が少なくなる可能性が高いのです。

教育

次に教育です。採用した人財を育成し、組織の力にしていく仕組みがなければ、企業の競争力は確実に低下していきます。人財が土台であり、樹木でいえば根っこにあたります。土台がしっかりしなければ、大きく育つことはないのです。

弱体化

組織力が弱体化していくケースを見ると何がきっかけで弱くなるのかがわかります。組織の基本的な仕組みやルールが崩れていくのです。たとえば、

  1. 決められたルールが守られなくなる
  2. 計画が立てられても実行されない
  3. 時間管理がルーズになる

といった小さなことから発生していきます。これも教育の弱体化の一種と考えています。知識転移が教育ではありますが、計画やルールが実行できないことも教育の不足から発生していると考えています。なぜそれをやらなければならないのか、という理解が不足しているからです。

やることは明確

採用と教育に力を入れるには、どうすればよいのでしょうか。答えは明確です。

  1. 採用戦略の見直し
     単に人数を確保するだけでなく、企業文化に合った人を見極める
  2. 教育システムの構築
     入社後の教育プログラムを充実させ、継続的な学習の機会を提供。短期間で育てることも差別化につながる
  3. 組織文化の醸成
     基本的なルールや価値観を明確にし、全社で共有。成長することが価値であるという文化を構築
  4. リーダーシップの育成
     リーダーの育成に力を入れ、組織全体を引き上げる。自ら成長し、自らエネルギーを発し続ける人が増えること

まとめ

人口減少は避けられない現実。しかし、それを嘆くのではなく、この変化を企業変革の機会と考えてみることです。採用と教育に真剣に取り組む企業が先に行く形になります。手間がかかる、めんどうなところに手をつけられる企業が先行していくでしょう。

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