価格変動に対する反応

最近、まわりで「あの商品(お店)の価格が上がったよね」という声をよく耳にします。確かに物価は上昇傾向にありますが、実際の上昇幅はどれほどなのでしょうか。大きいのでしょうか、小さいのでしょうか。この疑問を掘り下げていくと、ヒトが価格に対する反応パターンがあることが理解できるようになります。反応パターンが見えてくるのです。

非対称

消費者の価格感度には、明らかな非対称性があります。価格が値上がりしたとき、値下がりしたとき、反応が違う。上がり幅と下がり幅が同じの場合だと理解しやすいと思います。

  • 価格上昇:わずかな上昇でも敏感に反応
  • 価格下がる:大幅に下がらないと反応しない

値上がりには敏感で、値下がりには鈍感。値上がりのときは記憶に残るが、値下がりは記憶に残りにくい。値上げは人に伝えるが、値下げはそんなに伝えない。このような現象があると思います。

細かな反応

反応のちがいからわかることは、ヒトは「痛み」に弱いということ。少しの痛みでも反応するのです。敏感反応です。出費が増えることへの嫌悪感でしょう。損する、という感覚かもしれません。何かが増えれば、何かが減らされる。そう考えるのが普通な反応です。

その一方で、価格が下がるときは鈍い反応です。値下げの率で反応を考えてみると次のような反応になっていくはずです。

  • 1割の値下げ:ほとんど反応なし
  • 2割の値下げ:わずかな反応
  • 3割の値下げ:ようやく目立った反応が見られる。でも人に伝えない

値下げしても売り上げが思ったほど伸びない理由はここにあります。3割の値下げでようやく反応が目立つくらい。4割下がる、5割下がると大きく反応するのですが、実際にそこまで値下げすることはありません。

損失回避

人間は、損失回避傾向が強い。得をすることよりも損をすることを避けようとする傾向が強いことがここではわかります。マーケティングや価格戦略に応用できる心理です。企業は、値上げを行う際には消費者の敏感な反応を考慮に入れる必要があります。一方で、値下げを行う場合は、期待値より反応が低いことを前提で計画しなければなりません。

まとめ

日常で感じる「物価上昇」の感覚は、実際の上昇幅以上に強く感じられている可能性があります。過剰に反応する場合もあるでしょう。抽象的ですが、「空気感」で決まるときもあります。世の中の論調がどちらに流れているのかを確認しながら価格戦略に対応したいところです。

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