10の心理的壁

営業活動において、顧客の心を動かし、成約に至るまでには多くの壁があります。今回は、営業担当者が直面する8の心理的壁について解説し、それらを乗り越えるヒントをお伝えしたいと思います。壁という表現をしていますが、顧客がシャッターを下ろしている状態だと思ってください。そのシャッターをひとつずつ開ける作業が壁を乗り越えることと同じになります。

1. 不信感の壁

顧客は見知らぬ担当者や聞いたことのない企業に対して、不信感を抱きます。情報がないので、疑うしかないのです。この壁を乗り越えるには、顧客の中にこちらの情報を増やすことがカギとなります。情報を蓄積させることで不信感を払拭していくのです。他にもリアルにお会いする場合には、回数によって不信感が乗り越えることができます。

2. 現状維持の壁

人間には現状を維持したいという本能があります。現状維持バイアスです。新しいものを導入することへの抵抗感があるのは、本能的な反応です。その抵抗を和らげるには、未来を顧客の中に描いてあげましょう。将来像を見せて、製品やサービスを手に入れると現在とは比べものにならない生活が待っていることをイメージしてもらうのです。

3. リスク回避の壁

新しい選択には常にリスクがともないます。小さなリスクでも顧客は気にします。そして顧客はリスクを感じているときには決断しません。顧客のリスク回避傾向を克服するには、保証制度や試用期間の提供など、顧客のリスクを軽減する方策を用意することが有効です。

4. 決断先延ばしの壁

「今すぐ決める必要はない」と考える顧客も多いでしょう。必要性を感じていても、緊急性が乏しく、受注に至らないことは多々あります。購入に対して顧客が「締切期日」の設定がないからです。締切日が確定している場合には問題ありませんが、多くは購入の締切がありません。この壁を越えるには、早期決断のメリットや限定オファーを提示するなど、適度な締切設定を創出することからです。また、必要性を高めることで緊急度も上昇することがあるので、双方から提案していくべきでしょう。

5. 情報過多の壁

情報社会では、顧客が情報過多に陥ることも珍しくありません。情報が多過ぎて決められなくなる状態です。検討していたのですが、情報が臨界点を超えてしまい、検討することさえストップすることもあります。この状況を打破するには、情報を整理してあげることが効果的。多くの情報の中からどのように判断するのか、ポジショニング図を用いて理解しやすい環境構築も意味があるでしょう。

6. 価格の壁

顧客にとって、価格は大きな障壁となります。理想の価格よりオーバーしてしまうと急に決められなくなる人もいるからです。この壁を乗り越えるには、単に価格を下げるのではなく、顧客が求めている内容を再度確認すること。その内容を整理することです。その上で、商品やサービスの価値を十分に説明し、投資に見合う価値があることを納得してもらうことになります。

7. 優柔不断の壁

決断することに躊躇する顧客もいます。決断が苦手なのです。決断の経験値が少ないことが原因です。大きな金額を自分で決済したことがない人もいるでしょう。その場合、金額の大きさに躊躇してしまうのです。この壁を乗り越えるには、初めての決断に対する気持ちを傾聴し、寄り添うことです。また、決断後のサポート体制を充実させることで、顧客の不安を軽減させましょう。

8. 後悔回避の壁

購入後に買ったことを後悔するかもしれないという不安から、決断を避ける顧客もいます。金額が大きければ大きいほど、事前の不安は大きくなるものです。ただ、人は購入後に「この買い物はよかった」と自問自答することもあり、購入後にそうなるように会話を定期的に継続することです。購入という体験を振り返ることで満足度は高くなっていきます。

まとめ

これらの8の壁は、すべての顧客に同じように現れるわけではありません。個々の顧客の状況や性格に応じて、異なる壁が立ちはだかることでしょう。成約率の高い営業担当者は、これらの壁を敏感に察知し、適切な戦略を立てて一つずつ乗り越えています。何事も事前準備がすべてです。

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