信頼関係

組織において、基盤の一つが信頼関係です。仕事をするスタッフ同士の信頼関係が、どの程度あるのか、またそれをどう感じているかは、組織の健全性を測る重要な指標となります。また会社とスタッフとの信頼関係もここでは範疇に入ります。信頼関係のバランスが取れているのが理想です。組織全体の雰囲気や文化、風土や生産性に影響を与えているのが信頼関係だからです。

100%発揮

なぜ信頼関係がこれほど重要なのでしょうか。それは、信頼関係が組織の土台そのものだからです。信頼があるからこそ、仕事を任せることができ、効率的な協力体制が築けます。リーダーはスタッフの能力を信頼し、重要なプロジェクトを任せることができます。スタッフ同士は互いの専門性を尊重し、円滑なチームワークを実現できます。遠慮なく依頼ができる、支援を申し出ることができる雰囲気が醸成されるのです。このような信頼関係に基づいた組織では、メンバーが安心感を持って自己の能力を100%発揮できるのです。

損ねると

逆に、信頼関係が損なわれると、組織は急速に機能不全に陥ります。たとえば、リーダーがスタッフを信頼せず、細かな指示や監視を行うようになると、スタッフのモチベーションは低下し、自主性も失われていきます。スタッフ間で不信感が蔓延すれば、情報共有が滞り、協力体制も崩れてしまいます。場合によっては仕事の妨害のようなことをすることも出てきます。こうした状況では、組織全体の生産性が著しく低下し、最終的には組織の存続さえも危うくなりかねません。かなりの問題になってしまうのです。

構築するには

信頼関係の構築は、新しい組織を立ち上げる際だけでなく、既存の組織を再生する場合にも不可欠。歴史ある企業でも再構築が必要なケースは多々あります。仕事は回っているのですが、組織内の信頼関係が損なわれているケースです。

組織改革を行う際、多くの場合、最初に着手されるのが制度や構造の変更ですが、それだけでは十分ではありません。むしろ、制度変更より先に信頼関係の醸成から始める方がいいでしょう。目に見えるような信頼関係が構築されるまでは制度などを変更させないこと。なぜなら、どんなに優れた制度を導入しても、それを運用する人々の間に信頼関係がなければ、その効果を十分に発揮することはできないからです。

有効手段

具体的には、以下のような取り組みが信頼関係の構築に有効でしょう。

  1. オープンなコミュニケーションの促進
    定期的なミーティングや1on1セッションを設け、メンバー間の対話を促進。この際、単なる業務報告だけでなく、個人の考えや感情を共有できる場を作ることが重要。ファシリテーションがポイントで、進行役がどこまで奥深い意見や考えを表出することができるのかにかかっています
  2. 定期的なフィードバックの機会設定
    肯定的なフィードバックでメンバーの成長を支援します。あくまでも成長を支援する立場を崩さないこと。そこから信頼構築につなげる形です
  3. チームビルディング活動の実施
    業務外での交流機会を設けることで、メンバー間の人間的な絆を深めます。業務時間内で行うことになりますが、短時間でもいいので仕事から離れてワークをするのは有益です

リーダーは

組織のリーダーは常に、信頼関係の状態に注意を払い、必要に応じて改善のための施策を講じる必要があります。小さな場面も見逃さないのがここではポイント。小さな発言や、ちょっとした行動から気がつくことがあるからです。

また、信頼関係は一度築いたら永続するものではなく、継続的な努力によって維持・強化されるものだからです。日々の小さな行動や決定の積み重ねが、長期的な信頼関係の構築につながることを忘れてはいけません。

まとめ

信頼関係の構築は容易ではありませんが、時間をかける価値があります。組織の未来は、メンバー間の信頼関係の質にかかっているといっても過言ではないのです。人が組織を成長させますが、成長の限界はないのです。

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