効果的な活用
マーケティングにおいて「FOMOマーケティング」という手法があります。この戦略はある程度効果的ですが、同時に慎重な取り扱いが必要だと感じています。今回は、FOMOマーケティングの本質、その効果的な活用方法、そして過度の使用によるリスクについて解説したいと思います。
FOMOマーケティングとは
FOMO(Fear of Missing Out)は「取り残される恐怖」を意味します。自分だけ取り逃がす可能性があると恐怖を感じる人の心理です。たとえば、他の人が楽しんでいる体験や機会を自分は取り逃がすことへの不安を指しています。FOMOマーケティングは、この心理を利用して消費者の購買意欲を刺激し、即座の行動をうながす戦略です。
主な手法
よくあるFOMOの手法は次のとおり。
- 限定商品や期間限定オファーの提供
- カウントダウンタイマーの使用
- 在庫数の表示
限定の製品があったり、限定数の製品の場合や、欠品が多い製品の場合は、FOMOの応用です。よく使われているのではないでしょうか。この手法が日本で広がったのは、25年ほど前からです。FOMOの心理を応用したマーケティングが普及した時期があるのです。その後、わかりやすいところでは、テレビショッピングでは、限定数が表示されるだけでなく、リアルタイムで売れた数が表示され、残り数も開示されるようになったのです。そうなると特典を取り逃がす恐怖を感じ始める人も出てくるのです。すぐに買わないと無くなってしまう、と感じるのです。
成功事例
多くの企業がFOMOマーケティングを効果的に活用しています。以下にいくつかの例をあげておきます。
1)Eコマース
- 期間限定の限定セール
- 商品ページでの「残り○個」表示
2)旅行予約サイト
- 「この時間に○人が閲覧中」の表示
- 「残り○部屋」の表示
3)音楽ストリーミング
- プレミアムユーザー向け限定ライブイベント
4)アパレル
- アプリでの限定製品抽選販売
- 有名アーティストとのコラボレーション商品
課題
しかし、FOMOマーケティングを過度に行うと、以下のような問題が生じる可能性があります。バーゲンセールと同じで、乱用すると価値が下がっていきます。
- 信頼性の低下
常に「限定」や「緊急」を強調すると、消費者はその真実性を疑い始めます - 消費者の疲労
継続的な緊急性のメッセージは、消費者を疲弊させる可能性があります - 倫理的問題
消費者の不安や脆弱性を過度に利用することは、倫理的に問題があると見なされる可能性があり最悪の場合信用失墜につながります - 長期的な関係構築の阻害
短期的な売上増加に焦点を当てすぎると、顧客との持続的な関係構築が徐々に崩れていきます - ブランドイメージの低下
過度のFOMO戦略は、ブランドを「安っぽい」「押し付けがましい」と印象づけるようになるでしょう
バランスの取れたアプローチ
FOMOマーケティングを効果的に活用しつつ、これらの課題を回避するためには、バランスの取れたアプローチが不可欠。気をつけるのは、頻度です。1ヶ月に1回程度しか使わない方がいいでしょう。あと、真実に基づいた内容を展開することです。しかも長年かけて同じことを続ける内容でもあります。
まとめ
心理学を用いたマーケティングは、嘘偽りなく、真っ当な形で進めることがポイントだと感じています。単に利用するだけでは見抜かれてしまいます。売り上げを増やしたい時期はあるかと思いますが、経営は継続なので、単に騙すような手法は用いない方がいいでしょう。このような心理を理解しながら適度に応用してほしいと思います。
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