為替ヘッジ
日本商工会議所会頭のインタビューの内容が気になったので取り上げます。「中小(企業)を為替ヘッジに使うな」と過激な題名がついています。内容の中で個人的に気になるところは、下記の部分。
・1ドル140円まで戻ったが中小企業にとっては看過できないレベル
・中小企業が心地よい為替相場は1ドル120円〜125円が多い
・中小企業の輸出比率は3%しかない
・大企業は円安で海外資産の含み益も得られるなど総じて業績がいい
・中小企業から部品を円で買っているので為替リスクは負わない→大企業は中小(企業)で為替のヘッジをしている
という内容です。かなり強い口調で述べており、鋭い指摘になっています。大企業は為替リスクを負っていない、という指摘は響く人も多いのではないでしょうか。また、心地よい為替相場1ドル120円というのも、ドルと円の総量から算出される適正値に近い数字であり、根拠がないわけではありません。その点も正確な内容ではないかと感じます。
生産性低くないが
他にも
・中小企業は生産性が低いは誤り。生産性の伸びは大企業と遜色ない
・価格転嫁力が中小企業は低い
と指摘しています。「大企業が価格転嫁を認めないために中小(企業)が高めた生産性を吸い取られている構図」と断定しています。ここまでハッキリ発言される人は少ないと感じます。中小企業は生産性が低いのではないか、と言われていますが、生産性は向上している現実があります。しかし、価格転嫁力がマイナスになっているので、結果的に収益につながっていない構造があるのです。
まとめ
ビジネスは構造やポジションによって収益に差が出ます。依存する部分が大きくなるほど、収益のコントロールができません。下請け構造はその典型です。戦後の高度経済成長においては大企業の下請けに入ることができれば成長していきました。注文が増えたのです。しかし、現在はそのメリットが薄れています。このように考えてみるとビジネスモデル、ポジショニングは企業の将来を左右すると感じます。本業転換が必要な企業の今後は増えてくるでしょう。
中小を為替ヘッジに使うな 小林日商会頭が促す企業変革
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA172OB0X10C24A7000000/
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