大胆な整理
日本の食品・日用品メーカーの間で新たな動きがあります。それは、商品ラインナップの大幅な削減です。1割減、2割減、さらには3割減と、商品数を減らし、売れ筋商品や黒字商品に絞り込んでいるのです。思い切った取り組みが行われているので取り上げてみます。
従来の戦略との違い
以前の商品戦略では、新製品の投入が主流でした。新しい商品は消費者の関心を引き、売上を伸ばす効果がありました。消費者も次々と登場する新商品を楽しみにしており、定番品以外はほぼすべてが新製品という状況さえあったのです。そのため商品数は増える傾向にあったのを覚えています。
変化の背景
この新商品増加戦略には課題がありました。商品数の増加はメーカーに大きな負担をかけるからです。生産ライン、在庫管理、マーケティングなど、あらゆる面でコストが膨らんでいきます。在庫も簡単に増えてしまいます。マイナス点があったのです。それでも、商品数を減らすことへの抵抗感は強かった。売上減少への懸念から踏み切れないメーカーが多かったのです。
転機となった
そんな中、最近の材料費高騰、光熱費高騰などのコストアップが、皮肉にもこの状況を打開する契機となりました。コスト上昇圧力が強まる中、各社は収益性の見直しを考え商品数減少を選択したのです。材料高騰により、商品数を減らすきっかけができたわけです。何か理由がなければ反対の方向には転換できなかったのです。
新たな戦略の内容
現在進行中の戦略は、端的に言えば「選択と集中」です。少し、ポイントをまとめてみます。
- 売れ筋商品への注力
収益性の高い商品に経営資源を集中できる - 赤字商品の撤退
採算の取れない商品ラインを思い切って整理できる - 生産効率の向上
商品数削減により、生産ラインの効率化を図ることができる
上記のように、ムダがなくなるので、改善につながっていることがわかります。
今後の展望
この戦略転換は食品メーカーや日用品メーカーに限らず、他の業界も事例が出てくるのではないでしょうか。種類を増やしていた製品が逆に種類が減っていくのを気がつくことになるでしょう。コンビニの棚は定点観測に向いています。今後は商品数という着目で観察していきたいと思います。
まとめ
材料高騰という逆風が、皮肉にも製造業に新たな可能性をもたらしそうです。この動きが一時的なものか、それとも今後の標準になるのか、業界の動向には注目です。個人的な見解ですが、商品ラインナップの縮小傾向は今後も続くと予想しています。
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