方向性変わらず
毎年発表される金融庁の事務年度金融行政方針。今年2024年分が発表されています。冒頭から
・資産運用立国
に向けた進展について触れられています。その中でも
・約2,200兆円に上る家計金融資産の運用にふさわしい、国際的に見ても質の高いサービスを提供すること
と書いてあり、増え続ける家計金融資産を資産運用に振り向ける施策を中心に据えているのがわかります。
取り組みとしては、
① 新しいNISAの適切な活用促進
② 金融経済教育の充実
が書かれており、ここ最近の流れとは変わらない方向性が示されています。まわりを見ても、今まで資産運用に関心がなかった方がNISAを始めており普及しているのを感じています。
経営について
経営に関わる記述を少し取り上げておきます。
融資については
・担保依存脱却
・安易な金利競争に陥らない
と指摘が入っています。
・将来キャッシュ・フローに着目した融資(事業性融資)
について重視する方針が書かれてあります。これから1〜2年かけてこの領域も強化されていくでしょう。
(3)事業者の持続的な成長を促す融資慣行の確立
金融機関においては、担保・保証への依存や安易な金利競争に陥ることなく、事業者の事業の実態や事業から生み出される将来キャッシュ・フローといった事業性に着目した融資(以下「事業性融資」)のあり方についてより一層の検討を行い、事業者の持続的な成長を促すとともに、自らの収益基盤を強化することが望まれる
① 経営者保証に依存しない融資慣行の確立
経営者保証は、スタートアップの創業や思い切った事業展開、円滑な事業承継、早期の事業再生等の阻害要因となっており、金融機関による経営者保証への安易な依存をなくし、事業者の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、「経営者保証改革プログラム」(2022年12月公表)の施策等を着実に実行する
② 事業性融資の推進
金融機関による事業性融資への取組を促す施策の一つとして、企業価値担保権の創設等を内容とする「事業性融資の推進等に関する法律」(以下「事業性融資推進法」)が2024年6月に成立した。今後は、当該法制を円滑に施行することはもちろんのこと、同法の成立を契機とし、金融機関が企業価値担保権の活用も1つの選択肢として、事業性融資を自らの収益基盤の強化に確実につなげることが重要となる。こうした事業性融資のさらなる進展に向け、2024年7月、金融庁の関連する部局を横断する「事業性融資推進プロジェクト・チーム(以下「事業性融資推進PT」)」を発足させた。
まとめ
ゆっくりですが施策、方向性は動いており、毎年の定点観測が必要だと感じる領域です。。事業性融資はまだ馴染んでいない部分でもあり、今後の普及を確認していきたいと思っています。どのように判断するのか、誰が判断していくのかはっきりしない部分がまだあり、今後の課題になっていくと思われます。
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