マイナスとわかっていても
現状維持をかたくなに選択する人がいますが、その裏側にはいくつもの感情や葛藤があるはずです。現状維持はビジネスにおいて大きなマイナスです。ビジネス環境が動いており、世の中も変化しているので、ビジネスは常に変化するのが当たり前。それを理解すれば現状維持から行動が変容すると思います。しかし、現状維持の状態がマイナスと理解した後も変わらない人もいるのです。それはなぜなのでしょうか。ある側面から今回は考えてみたいと思います。
現状維持の認識
現状維持は最初の段階で、次のように認識されています。
- 失敗していない状態
- マイナスではない状態
この認識は、現状維持をプラスのイメージで考えています。しかし、変化がないのは、成長していないことにもなります。ビジネスでは現状維持は売上維持ではなく、売上減少、もしくは利益減少を招いていきます。過去の事例がそれを裏付けているでしょう。
ある心理
現状維持をマイナスだと理解し、認識しているのに現状維持のままの人がいます。それはなぜでしょうか。今までいくつものパターンを見てきました。その中で、なるほどと思ってしまったのは、「失敗したくないから現状維持」という考え方。そうか、そこがネックだったのかと思ったのです。失敗を1ミリもしたくない、という考えでもあり、失敗したくないという決心なのかもしれません。この心理の背景には以下のような要因が考えられます。
- リスク回避
現在の状態を保つことでリスクを最小限に抑えられると考えている - 安全志向
現状が許容できる範囲内であれば、それを維持することで心理的な安定を得ようとする - 変化への抵抗
人間の本能的な変化への抵抗が、現状維持を選択させる一因。変化は危険と察知しているケースもあります - 自信の欠如
新たな挑戦に対する自信がない場合、現状を守ることを選ぶ。もしくは挑戦の経験不足の場合もあります - 責任回避
現状を変えないことで、新たな責任を負うリスクを回避できると考えています。マイナス評価を避けるケースです
潜在的な問題
「失敗したくないから現状維持」という姿勢を持っている人に、どのようなアプローチが適切なのでしょうか。まずは問題点から考えてみます。以下のような潜在的な問題が隠れていると思います。
- 成長の機会を逃す可能性
- 環境の変化に適応できなくなるリスク、適応力不足
やはり、仕事の実力が下がっていくのは否定しようがありません。本人が引退を考えているならばそれでいいのですが、そうでなければ最悪の状況に陥ることを理解してもらうしかないのでしょう。人は最悪の状態になるまで何もしない人もいます。そうならないために、現状維持は自分にとって大きなマイナスであり、最悪な状況へのプロセスだと知ってもらうことからだと感じます。
まとめ
現状維持は、失敗を避けたい人間の本能的な性質から生まれることがあります。たしかにまわりを見渡し、振り返ると、失敗回避傾向が強い人がいたのを実感します。その心理からスタートして考えると、現状維持がベストな選択になるのでしょう。裏側の心理を理解するとアプローチも変わるので、単に相手を理解するのではなく深いところでわかってあげることがここではポイントになると思いました。
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