機会費用

「機会損失(Opportunity Loss)」という言葉はよく使います。機会損失を防ぐ、機会損失を減らす、といった表現でよく利用されると思います。似たような言葉で「機会費用(Opportunity Cost)」という言葉があります。経済学の言葉なので普段から使うことは少ないかもしれません。ですが、今回は機会費用について取り上げてみます。

違い

機会費用については、機会損失との比較から考えてみたいと思います。下記のような違いがあります。

特徴機会損失(Opportunity Loss)機会費用(Opportunity Cost)
定義ある選択を実行することで他の選択ができなかったことで生じる(架空な)損失選択した行動のために失われる、本来手にすることができた最大収益との差分
計算方法最善の選択肢 – 実際に選んだ選択肢の差(失った額)選択しなかった最大収益との利益差

事例から

次は、機会費用の具体的な事例から考えてみましょう。

  1. 大学進学の決断
    高校卒業後、大学に進学することを選んだ場合、その4年間で得られたかもしれない就労収入が機会費用となります。たとえば、年収300万円の仕事に就けたとすると、4年間で1200万円が機会費用です。(就職という確実な場合のみ機会費用と考えます。不確実なサイドビジネスの場合は機会費用にはならないと考えられます)

という内容になります。手に入るはずの確実な最大収益との差額を考える概念です。確実ではないものはここでは含まれません。

知っておくことが

単にこの内容を覚えるのではなく、選択肢を選ぶとき、確実に手に入る最大収益(最大価値)を考える習慣にした方がいいだけです。その最大値をあえて選ぶ必要はありません。その差を知っておくだけでも違うからです。

Opportunity Cost = 手にすることができる最も収益の高い選択(最大価値)- 実際に選んだ選択の価値

まとめ

選択肢は多い方がいいと思いますが、ここでは、確実性が高く、最高の収益になるものも明確に把握することの重要性を感じます。確実性が高い内容を思い浮かべ、その中で最大のものを知っておきたい。その選択肢を選ばない場合は、その差分も理解しておくと問題にはなりません。最大値を狙う必要がない場合もときにはあります。収益性を優先とする場合は最大収益を選ぶべきですが、戦略はそれだけではありません。

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