スーツ減
ビジネス環境においてスーツ以外の選択肢が増えました。スタートアップ企業の役員は白Tシャツにジャケットが普通になってきました。今までのスーツ以外でもOKが出るような雰囲気になっています。最初は「ノーネクタイ」がスタートでした。現在、ネクタイを着用するのは年間のうち半分程度になっています。そのため、紳士服業界は市場が変容しています。その領域を見てきます。
スーツ需要減少の背景
スーツの需要が減少しているのは事実ですがその要因を考えてみます。
1)仕事着のカジュアル化
- 多くの企業でドレスコードが緩和:大手企業でもデニムOKになっています
- テクノロジー業界を中心にカジュアルな服装文化が浸透
2)ネクタイ離れの加速
- 年間の半分以上がノーネクタイの時代に
- 快適性に気がつき始めている
3)日本の気候との不適合
- 高温多湿の気候にスーツが不向きと気がつき始めたのでは
新たな戦略
紳士服業界は、販売点数が減少しています。そのため、安売りは停止。売上減少を挽回するために、高額スーツを販売しています。ただ、同じようなスーツを値上げしても売れません。これらの課題に対応するため、オーダースーツやパターンオーダースーツの販売に注力しています。
1)オーダースーツ重視の理由
- 個人の採寸を行うのでデータが残り、リピートしやすい
- オーダーが付加価値になっている(価値を感じてもらっている)
2)価格戦略の変化
- 従来の既製服と比べてオーダースーツの販売単価が1.8倍になった
- 販売数減少を単価上昇でカバーするため
3)ビジネスモデルの転換
- 量から質へのシフト
- 在庫リスクの低減
上記のような戦略変更を行っているのです。オーダースーツは最低でも2桁万円でした。それが5万円前後になったので、とても安価に感じます。完全なオーダーではなく、パターンオーダーであっても価値を感じます。そのため、販売できると、安売りしていたスーツと比較すれば2倍程度の単価になるのです。値上げでは達成できない価格帯へと移行できているのが特徴です。
まとめ
紳士服業界は「1着買うと、もう1着は1000円」というようなセールを展開していました。今はほとんど見かけません。オーダースーツの宣伝ばかりに変わってきたのです。スーツは歴史を振り返れば、オーダースーツしかありませんでした。テーラーメイドでスーツをつくっていたのです。しかし、個人の店舗は無くなっていきました。量販店が拡大したのです。それがまたオーダースーツへ戻っているように感じます。今後もこの流れは続くでしょう。
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