スタート

デジタル給与払いがスタートしました。画期的なことです。1975年以来の変更(追加)です。1975年(昭和50年)から、銀行振込による給与支払いがOKになりました。それまで給与は現金で渡していたのです。49年ぶりの変化となります。(1998年に証券総合口座振込がOKになっていますが一般的ではないので省いて考えています)

今回はPayPayで給与支払いが行われました。現在、複数の会社がデジタル給与払いを申請をしていますが、ソフトバンクのPayPayのみOKになっています。他はまだOKが出ていません。今後は、複数の企業が認可されると思いますが、とりあえず1社がスタートしたことはエポックなできごとだと感じます。

振り返ると

日本の給与支払い方法の歴史を振り返ると、変化がなかったことがわかります。銀行振込以前は、現金手渡しや給与袋での支給でした。現金手渡し→銀行振込、でほぼ止まっていたのです。

今回は、ソフトバンクグループ(SBG)が第1号となりました。希望する社員に対して、グループ内のスマートフォン決済サービスであるPayPayを使用してデジタル給与を支払いました。(上限20万円)

実用的な適用例

上限があるので、給与の一部をPayPayにする人が多いと思います。そのままPayPayで支払いをすることができるので、楽になるでしょう。

デジタル給与払いの実用的な適用例として、サカイ引越しセンターの事例が出ています。同社は繁忙期に1万人を超える10~20代を中心としたアルバイトの利用を見込んでおり、デジタル給与払いの大規模な実施を計画しています。

このようにアルバイトの方への給与支払いはデジタル支払いが当たり前になるのではないでしょうか。スポットバイトのタイミーは即バイト代が支払われており、それに慣れた人は、他でも即日支払いを求めてくると思います。その点では、デジタル給与支払いは便利なツールになるのではないでしょうか。

メリットと課題

便利なデジタル給与払いについて整理します。メリットとしては

  1. 迅速な支払い処理
  2. 手続きの簡素化
  3. コスト削減(特に企業側)
  4. スタッフ側:銀行口座不要

となります。一方で、以下のような課題も存在します。

  1. セキュリティとプライバシーの懸念
  2. デジタルリテラシーが低いスタッフへの対応(手間)
  3. システム障害時のリスク

などになります。ただ課題は、クリアされているので利用するには問題ないと感じます。

まとめ

1975年の銀行振込導入時と同様、新システムの定着には時間がかかる可能性もあります。しかし、便利さを考えると普及ははやいでしょう。企業側も対応を求められると思います。あと、金融機関側は口座不要となるデジタル給与支払いは脅威。銀行との付き合い方も変わってきてしまいます。銀行に依存しない給与支払いが増えてくると金融機関のビジネスモデルも変容を迫られるでしょう。これから数年が転換期に入ってくると思います。

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