転換するのか

コンビニのイートインコーナー。実は利用率(稼働率)が下がったままで、コロナ後も上がっていません。イートインを利用する習慣を忘れてしまったままのようです。このイートインコーナーが変わろうとしています。その背景を解説います。

理由

コンビニのイートインスペースが、次々と姿を消し始めるようです。ある大手コンビニチェーンでは、3割の店舗、約2000店舗でイートインを廃止し、売り場に転換すると発表しました。その理由として考えられるのは、次の内容です。

  1. コロナ禍以降、イートインの利用率が低下したまま
    当時、イートインの利用を控えるようになり利用率低下しました。その傾向は今もなお続いています。増えていません。
  2. 若年層を中心に「コンビニ離れ」が進行
    若い世代から見たら、単価の高いコンビニに足を運ぶ機会が減少しています。コンビニに行くのは無駄遣いととらえている人もいました。なるべくコンビニには行かない、と語る人も見たことがあります。
  3. 低価格志向の高まりにより、コンビニが「高価格帯」店舗とみなされる傾向
    値上げが続いている中、消費者の間で低価格志向が強まり、コンビニは相対的に「高価格帯」の店舗とみなされるようになってきました。安い店舗を探すと、どうしてもコンビニは外れてしまうのです。

新たな戦略の一環として、日用品や衣料品の販売強化です。あるコンビニは100円均一の企業とタイアップし、生活用品の一部を100均グッズにしました。このような商品ラインナップの拡大は変化のひとつです。

また、コンビニでの衣料品販売は難しいとされてきました。食品や日用品とは異なり、サイズや好みの問題があり、また在庫管理も難しいとされていたためです。しかし、ヒット商品が生まれれば状況は一変します。衣料品は単価が高いため、全国展開できれば大きな収益源となる可能性を秘めています。

実は好調

実はコンビニで衣料品が売れているお店が出てきました。このチャンスを他の店舗に広げたい。しかし、売り場が店内にはないのです。そこで考えられたのが、利用率の低下したイートインスペースだったのです。これまで飲食のために使われていたスペースを、新たな商品カテゴリーの展示・販売スペースに転換することで、店舗の収益性を高めることにしたのです。

まとめ

イートインスペースを売り場に転換するのは思い切った戦略です。もともとイートインを作った理由は来店数を増やすためでした。それを転換させるには根拠が必要です。今回は単価の高い衣料品があるからイートインを削減する決断に至ったのでしょう。このようにコンビニは変化の集積地なので、定期的に観察したい場所のひとつです。

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