新しい動き

eコマース業界に新たな転機が訪れたのではないかと感じています。中国発のTemuの台頭により、業界最大手のAmazonが本格的な価格戦略の見直しを迫られているからです。最大手でも困っている状況があるのです。その対抗策は以前から情報公開されてきましたが、はっきりとしたものではありませんでした。中国メーカーにAmazonが接触している、という情報程度が出ていたのです。これが具体的な取り組みとして表面化してきたので取り上げます。

新戦略

Amazonは、Temu対抗策として格安品専門の売り場を新設する計画を進めています。最安値売り場を新設する形です。なぜ、そうするのか。それは、最安値の売り場に市場の売上が集中するからです。2番手では売上半減になってしまうのです。その最安値ポジションを守るために新しい売り場を創設するのです。この新戦略の背景には、中国のメーカーとの直接取引があります。Amazonは以前からTemu対抗のため、中国メーカーとの接触を、していましたがその結果、中間マージンを圧縮することで、低価格を実現させようとしています。

物流面では、大きな変更が加えられています。すぐ届くAmazon、を手放します。商品は中国から直接配送される仕組みを採用し、配送には約10日前後を要する見込み。この方法なら倉庫コストを削減することが可能になりコスト減になるのです。Temuのビジネスモデルをマネた形になります。新しい企業が台頭してきたら同じことをするのが大手の戦略です。

市場への影響と課題

現在のeコマース市場は、際限のない価格競争に突入しています。激しい競争だと見ていて感じます。価格競争をする裏側を考えてみると次のような内容になります。

  • 価格以外の差別化要因が確立できない
  • 最安値提供企業への売上集中
  • 価格比較で最安値しか残らない
  • 相手が市場からいなくなるまで競争が続く

ジレンマ

市場シェアを維持するため、Amazonは最安値というポジションを死守する必要に迫られているのを感じます。利益率の低下は避けられないので、コスト圧縮をするため配送方法を変えたのは注目です。長年培ってきたブランド価値への影響も出るのでしょうか。そこが今後の観察ポイントです。

まとめ

最安値の競争は、他の選択肢がないのがネックです。価格競争から撤退することは実質的に不可能だと思います。しかもシェアを確保した後も、新興企業が追いかけてくるので、競争は激しい。やはり、安値競争は選択するべき戦略には見えないのは、このような状態からわかると思います。

Amazon、Temu対抗ソファ3000円 格安品売り場を計画
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23E1K0T21C24A0000000

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