行ったけど
こんなことを言うリーダーがいます。「事務所に行ったとき、スタッフが忙しそうにしてるので気が引けるから、何も言えないのです」ときには、「挨拶もせず帰ったり」するそうです。これは一見、相手を思いやる発言に聞こえますが、実はここに問題が潜んでいると感じます。今回は、職場における「過剰な配慮」がもたらす意外な悪影響について考えてみたいと思います。最近は、優しいリーダーが増えていますが、その中には、ちょっと優しさがちがうのではないかと感じる場面もあるので、取り上げてみます。
「気が引ける」の裏側
「スタッフが忙しいからジャマしたくない」「作業のジャマになるのでは」という理由で挨拶を控えることは、本当の意味での配慮とは言えないと個人的には考えています。数秒の挨拶で業務が大きく妨げられることはほとんどありません。むしろ、挨拶がないことで疎外感が生まれ、分裂を招くこともあるでしょう。後から来ていたのを知ったとき、「どうして声をかけてくれないのか」と感じるはずです。遠慮するのもいいのですが、相手がどう思うのかもわかっておいた方がいいでしょう。
ここでひとつの課題となるのは、「気が引ける」という言葉が、コミュニケーションを避けるための言い訳になっていることです。優しさや配慮を出しているという言い訳になっているのではないでしょうか。
コミュニケーションロス
オフィスの雰囲気は、小さなコミュニケーションの蓄積で成立していきます。挨拶がないことは、単なるマナーの問題ではなく、チームにとって以下のような影響を発生させるでしょう。
1)チームワークの低下と分裂分解
- チームの一体感の欠如し分断が発生し分解していく
- 協力体制の弱体化も同時に発生する、フォローする体制がなくなっていく
- 他人のミスを誘発するような行動をする
2)業務効率が下がる
- 必要な情報共有の機会損失し1人に仕事が集中することが発生する
- 仕事がパンクする人が出てくる
- パンクしてはじめてフォロー体制がスタートするので結局のところ業務中断が発生しすべてが遅延していく
本当の配慮とは
真の配慮とは、相手との適切なコミュニケーションを通じて、お互いを深いところで理解し合うことです。それができるようになると、事前にミスを防いだり、仕事量がパンクする人を察知してフォローしたりすることができます。配慮のない職場は、だれかがパンクしている中で、他の人はマイペースで仕事をしているものです
まとめ
「気が引ける」という行動は、実はコミュニケーションを阻害する要因となってしまいます。基本的な挨拶や声かけは、決して相手の邪魔になるものではありません。ちょっとした接触がミスを事前に防ぐものなのです。
相手を思いやる気持ちも大切ですが、それを理由にコミュニケーションを避けることは、結果として大きなマイナスを生みます。遠慮なく声をかけられる雰囲気を醸成していきましょう。
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