消費増となるのか

経済の好循環には条件があります。好循環のプロセスがあり、その順番でものごとが進んでいきます。2024年から賃金アップが実現しています。これは、前提として企業収益が増加した結果、賃金が増加したことになります。ただ、それだけでは、経済の好循環は生まれません。その次が必要なのです。簡単に表現すると、次のようになります。
1)企業収益増→給与増
2)給与増→消費増

まだはっきりしない

上記のうち、1)の「企業収益増→給与増」については、達成しつつあります。2)の「給与増→消費増」については、これからです。賃金増から消費増への道のりは今のところはっきりしていないと表現されているのです。

振り返れば、テレワーク時期が3年間あり、お金を使わない経験をしてきました。そのときに「お金が貯まる」ことも経験しています。使わないと貯まる、という経験値が上がったのです。さらに、消費を牽引する20代30代の層では、価値観の変化も見受けられます。今の暮らしをより豊かにしたいという選択より
・将来のために貯めておきたい
・将来働かなくてもいいように貯めておきたい
という価値観の方が強いのです。老後に必要な資金は2000万円と打ち出されたときもありました。そのため、お金に対して関心が高く、投資や資産運用について知識も豊富なのです。その世代の方と話をすると、それを強く感じます。

心配したくない

20代30代の中には「お金を心配したくない」と強く考えている人が増えているのではないかと思っています。40代50代を見て、そう感じているのかもしれません。計画性の無さやしんどそうな姿を見て、そうなりたくないと感じているのでしょう。

また、お金をかけなくても時間を過ごす方法も増えました。無料で休日を過ごすことができる時代に変わってきたのです。お金を使わなくても過ごすことができるのを楽しんでいる人もいるくらいです。お金を使わない日のことを
・「ノーマネーデー(NMD)」
と呼んでいるくらいです。そこに価値があるように感じているのです。

まとめ

お金が増えても、消費がなければ経済の好循環にはなりません。しかし、20年以上の低成長の日本でいきなり消費が伸びることはないでしょう。そのような経験が少なく、価値観もそこにないからです。どちらかといえば、節約の方が話題にもなりますし、お得な内容の方がメディアで取り上げられるでしょう。住宅やクルマといった大型消費も先行きが明るい気分のときにしか消費は伸びません。給与アップが3年続くと好循環のサイクルに入ってくると考えています。3年続けば、明るい雰囲気が醸成され、将来の見通しも明るいものだと感じるからです。あと2年間ぐらいは様子を見ている状態だと思います。

貯め込む家計と増えない消費
~反転上昇する家計貯蓄率を考える~
星野 卓也氏
https://www.dlri.co.jp/report/macro/381625.html

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