25年度中に政策金利1%以上へ

なぜか、日銀の委員が将来利上げするのを明言するようになりました。変わってきたと感じます。

1月に日銀は利上げの決定をしました。政策金利を0.25%から0.5%へと引き上げました。この利上げのタイミングも今まででは考えられなかったことでした。国会がスタートするタイミングで利上げしたからです。通常なら国会スタート前に利上げはしない。マイナス材料になる恐れがあるからです。これを見ても現在の日銀は以前に比べて独立性が上がったのを示しています。

2月に入っても、日銀の田村委員が「2025年度の後半に最低1%まで利上げ」と明言しました。2025年度中に1%以上を確約したようなものです。これも意図があっての発言でしょう。

日銀・田村直樹委員、25年度後半に「最低1%まで利上げ」
2025年度後半には「少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、物価目標達成のうえで必要」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB061H60W5A200C2000000/

なぜ事前に明言するのか

なぜ、このタイミングで利上げをするのか。日銀田村委員の発言では、

  • 物価上昇リスクを抑える
  • 物価目標達成のために

とあります。個人的には、物価上昇リスクが高まる要因が増えているので早々に1%以上の利上げを宣言したと感じています。2025年度は、政策金利の上昇も織り込んで市場を推移させたい意図があるのでしょう。前提となっているのは、市場をコントロールできるという考え方です。日銀の力である程度コントロールできると考えていると思います。

コントロールできる時期はそれでよいのですが、コントロールできない状況になったときにどうするのかを知りたいと感じます。そこまでは明言しないのが今までの日銀のスタンスです。

責任分散だと感じる

金融政策は方向性がまとまっているようでまとまっておらず分散しているように感じます。これは、金融政策を決定する機関が複数あり、それぞれに思惑があるからでしょう。日銀は資金のコントロールを主眼に置いていますが、「為替は関係ない」と考えています。元日銀の方ははっきりと明言しています。為替は財務省の管轄なのです。為替介入を決定するのも財務省であり、日銀は為替の責任を追及されることもありますが、根本では「あまり関係ない」と思っているのです。このように管轄する部署が複数になると、方向性はぶれてきます。全体最適を優先せず部分最適を優先することがあるからです。

まとめ

金融政策を定点観測するとわかりますが、決定機関が複数に分かれると課題解決にブレが生じます。一気に解決するように見えないのは、それぞれの機関の優先事項がちがうからです。この構造を見ると、組織も同様なことが発生するだろうとわかります。ある程度、決定権をまとめることの必要性や分散化させない仕組みがあった方がよいと感じます。

(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)

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