どのエリアにもある

歴史ある業種の中に、日本酒(清酒)の製造があります。全国の酒蔵が製造しており、規模も家族経営から企業経営まであります。どのエリアに行っても地元の酒蔵は存在しており、根付いた食文化だと感じさせます。実際に、酒蔵は何件あるのでしょうか。記憶では1400前後だと覚えていたのですが、調べてみると1525件の清酒製造免許数になっています(2023年度国税庁データ)。1つの酒蔵で日本酒の銘柄は複数ありますので、銘柄数は日本全国で1万を超えるでしょう。地元で消費する地産地消で経営してきた酒蔵が多いと思いますが、全国の市場で競い合いするならば、1万を超える銘柄の中で知名度を上げることになります。かなり激しい世界です。覚えている日本酒の銘柄を数えてみるとわかりますが、それほど銘柄名は出てきません。人の記憶の中に残るには、数個の銘柄しかないことに気付かされます。

高い参入障壁

清酒製造業界へ新規参入を考えるとき、新しい製造免許の取得を考えます。しかし、清酒免許の
・新規取得は70年間ゼロ
なのです。新規参入できない状況が続いています。新規参入組にとって、この状況は極めて高い障壁。新たに免許を取得する道が事実上閉ざされているのです。業界に参入するためには既存の免許を持つ酒蔵を買収する以外に方法がないのです。この点については、かなり異常な状態だと感じます。

今後の業界

このような参入障壁が異常に高い清酒業界。日本酒の海外輸出が成功し、輸出量が伸びているので、新規参入したい人たちはいるでしょう。その点も考慮して、新規参入しやすい環境は必要なのではないでしょうか。新規参入ゼロが続けば続くほど、次のような課題があると思います。

  1. イノベーションの停滞
    新規参入者がいないので、革新的なアイデアや新しい製法が業界に入りにくくなり、世の中の動きから遅れます。
  2. 市場の硬直化
    市場の製品に新しさを感じない状態が続きます。伝統を継承してる事は良いのですが、若い世代から見て、魅力のある製品作りや告知にはなっていないので顧客が減っていきます

今後の展望

1万を超える銘柄が競争する市場の中で、日本酒業界の持続可能な発展のためには、伝統の保護と革新の促進のバランスが重要です。業界を変える意識の高い人が出てこなければそのまま衰退していくのではないでしょうか。また、これほど多くの銘柄が存在する状況では、いかに自社製品の差別化を図るかが各酒蔵の課題となっています。原料米の選定、水質、製法など伝統的な要素だけでなく、パッケージデザインやマーケティング戦略においても話題性が求められています。古いイメージを刷新するプロセスが不可欠です。

まとめ

70年間新規免許がゼロという事実は、日本酒業界の現状を象徴していると感じます。高い参入障壁があるからこそ守られてきた伝統と品質。しかし、その一方で、業界の停滞や多様性の欠如といった課題も浮き彫りになっています。日本の誇る伝統産業としての清酒製造業が、これからもその価値を保ちながら発展していくためには、新しい人財投入も課題だと思います。

(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)

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