リーダーに求められる気質
日本経済に関する明るいニュースをちらほら耳にします。日経平均株価も最高値を更新し、賃金も上昇傾向にあり、インバウンド観光も急激に回復しています。これらの表面的な数字だけを見ると、「日本も少しずつ良くなっているのではないか」と感じる方もいるでしょう。実際に回復してるところはあります。実感することがありますので間違ってはいません。
しかし、野村総合研究所が発表した「壊さないから再生しない日本。足りないのはリーダーの嫌われる勇気」というレポートは、この楽観論に警鐘を鳴らす内容となっています。
見かけの回復の裏に潜む衰退
現状に関して、表面的な好転の兆しとは裏腹に、日本の衰退傾向は依然として続いていると見ている意見です。株価が上昇したとはいえ、過去30年以上の間に米国の株価が8倍になる中、日本はほぼ横ばい。賃金上昇もスタートしたばかりで、実質ベースではインフレを考慮するとほとんど伸びていません。G7の中で最低水準が続いているのが現実です。賃金上昇もどこまで継続するのかまだ未知数です。
さらに深刻なのは、日本のGDPランキングが世界3位から4位に転落したこと。一人当たりGDPに至っては世界34位にまで落ち込み、かつて「経済は一流」と呼ばれた日本の面影はもはやありません。
「壊せない」日本の本当の問題
では、なぜ日本は衰退の一途をたどっているのでしょうか?このレポートが指摘するのは、日本再生のボトルネックが「スクラップアンドビルドのスクラップ」ができていないことだという点です。
新しいものを創り出す「ビルド」の議論は前向きで楽しいので日本でも活発に行われますが、古いものを壊す「スクラップ」の議論は避けられがちです。しかし、新しいものが生まれるためには、古いものを捨てる決断が不可欠だと考えているのです。
具体的な問題点として以下が挙げられています。どれも既知の内容であり、目新しい問題はありません。課題が残り続けていることが問題だと解釈できます。
- 生産性の低い企業が存続し続ける
- 人財の固定化
- 硬直的な予算配分
- 岩盤規制の温存
- 過剰な株主重視経営
- 古い人事システム
リーダーに求められる「嫌われる勇気」
では、どうすれば日本は衰退から脱却できるのか。レポートが提言するのは、リーダーたちに「嫌われる勇気」が必要だということです。実際のところ、リーダーたちは課題を正しく認識しています。問題は認識ではなく、実行力にあるのです。スクラップを進めるためには、古いものに決別する決断が求められますが、それは必然的に反発を招き、リーダー自身が「悪者」になることを意味します。そのため、実行しません。先送りにするのです。ただ、猶予がどこまであるのか。そこを指摘しているのです。
まとめ
未来を描くことは重要ですが、それを実現するためには、古い時代にそぐわなくなったものと決別する勇気が求められています。衰退に歯止めをかけ、真の再生を果たすためには、リーダーたちが「嫌われる勇気」を持ち、必要な改革を断行していくことになるのです。おそらく、ほとんどのリーダーは先送りにするでしょう。時間の経過とともに解決されると予想しているのではないでしょうか。それには、時間的余裕が必要です。最近の変化スピードを見ていると時間的余裕は削られているように感じます。
(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)
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