レッドオーシャン市場
レッドオーシャン市場でビジネスを展開したくない。それがホンネです。競争が激しいからです。しかし、長年取り組んできた市場がレッドオーシャンになってしまうこともあるので、逃げられないケースもあります。レッドオーシャンからブルーオーシャンへ移動するまでの期間だけ、競争の激しいところにとどまることもあるのです。そんなとき、何をすればいいのか。今回はレッドオーシャン市場において有効な視点、フレームワークを取り上げます。「ERRCグリッド」です。
ERRCグリッドとは
ERRCとは、以下4つの行動の頭文字をとったもの。
- E(Eliminate): 取り除く
- R(Reduce): 減らす
- R(Raise): 増やす
- C(Create): 創造する
この4つの視点から自社のビジネスモデルを見直すことで、他社と差をつけられる独自の価値提案が可能になるはずです。具体的にみていきます。
活用方法
レッドオーシャンにいるときは、ひとつずつ取り組んでいくと効果がわかります。一度に取り組むのではなく、仮説を立てて取り組み効果を測定しましょう。
1. 取り除く(Eliminate)
業界の常識や慣習として当たり前に提供されているが、実は全員の顧客が欲していないことについて、思い切って排除する手法。エアラインの場合は、LCC(ローコストキャリア)が、手荷物を預けることをオプションにして、通常のサービスから外しました。他にも、理容業界では、QBハウスが、従来の理髪店で提供されていた「洗髪」「肩もみ」「髭剃り」などのサービスを完全に取り除きました。これにより、コスト削減だけでなく、業務の効率化と短時間、安価という顧客満足を達成しました。
2. 減らす(Reduce)
減らすことに関しては、事例を見るとわかりやすい。たとえば、家電。機能を減らすことで、ジェネリック家電のジャンルができました。単機能の家電であり、安価で提供できるので一定の支持を得ています。売り場もホームセンターなどに置かれており、一定のジャンルとして確立しています。他にも
・量を減らす(小分けにする)
・サイズを減らす
・手間を減らす(時短)
・選択肢を減らす
・価格設定を減らす(ワンプライス、ツープライス)
といったことが考えられます。
3. 増やす(Raise)
逆に増やすアイデアも有効です。
・セット販売(まとめ売り)
・オプションを付加する
・アフターサービスを付加する
・保証を延長する
・量を増やす
・機能を増やす
といった内容になります。増やす方は、アイデアを出しやすいのでさほど苦労しないでしょう。
4. 創造する(Create)
業界がこれまで提供してこなかった全く新しい価値を生み出すことが創造。ここはハードルが高い。最初は手探りになると思います。仮説を立てながら実験することになると思います。同じ業界の人から見れば「絶対無理」と言われる内容が創造的な内容だと感じます。ただ、顧客からの指示がなければ存続しないので、業界からは異端と見られながら顧客が支持する内容を見つけることになります。事例は少ないですが、ガラケーの時代に
・ボタンひとつの携帯電話(iPhone)
を出したAppleは後発でしたが創造によってトップになりました。
まとめ
このように、ERRCグリッドは単なるコスト削減や差別化のツールではなく、ビジネスモデル全体を再構築するための強力なフレームワークなのです。ERRCグリッドを考えるとき、最初に考えることは、「何をするか」だけでなく「何をしないか」の選択。そこから取り組みましょう。その方がわかりやすいですし、レッドオーシャン市場で有効な手段になります。レッドオーシャン市場で企業が陥りがちな「すべてを追求するワナ」から脱却し、明確なトレードオフをともなう独自の戦略ポジションを確立することが差別化のカギだと感じます。
(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)
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