揺るぎないシェア
企業は成長をし続けているときは勢いがあり、シェアを広げていきます。その分野でトップのシェアを確保すると、揺るぎないポジションになります。50%以上のシェアを確保すると抜かされることは少なくなり、60%、70%のシェアを確保した企業が転落することはほとんどありません。しかし、実際にはシェア70%の企業が2番手企業に抜かされた事例があります。MBAの事例でも取り上げられる事例で、海外の大学院でも取り上げられることのある内容です。それは、キリンがアサヒに首位の座を明け渡したビールシェア争いです。
兆候があった
キリンの中で慢心があったと思われる事例なのですが、その兆候は20年前にあらわれていることがわかりました。当時、営業だった人が社長に「これからは、スーパーマーケットが脅威になる」と進言しました。そのときの返答が次のような内容だったのです。
- スーパーマーケットでビール販売は伸びない
- なぜなら税務署が簡単に免許を下さないから
これが前兆だったのです。この返答を今見れば、問題があったことがわかります。しかし、当時はダントツの首位。負けることはないと感じていたはず。自分たちの地位は揺るぎないと信じていたので、将来予測が甘くなっていたのです。「現状維持バイアスが根深い」状態だったことがここからわかります。
想像すると
当時の雰囲気を想像すると
・絶対大丈夫
・他社とはまだ大きな差がある
・他社に追いつかれるはずがない
といった空気が蔓延していたのではないでしょうか。そう考えると
・絶対大丈夫というのは存在しない
・大きな差があるように見えるがすぐに追いつかれる
と感じる感覚のほうが経営としては正しいように感じます。
まとめ
崩壊する前にはかならず前兆があらわれるものです。今回はトップの発言を取り上げましたが、社内ではいくつも前兆があったのではないでしょうか。問題なのは、発言している本人ほど気がつかないことです。そうならないためにも、日頃から思考の訓練が必要だと感じました。
(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)
「税務署はそんなに簡単にスーパーに免許は下ろさないから心配はいらない」。悠長で納得ができない答えで、さらに食い下がったが、それ以上の回答はなかった。集会でのやりとりが幹部の間で話題になったらしく、翌日支店長から呼ばれた。「お前の言ったことは正しい。ただ、この会社は上に対しての言い方には気をつけたほうがいいぞ」と、たしなめられた。 だが、キリン社内には現状維持バイアスが根深くあったことは明らかだ。将来も大きな変化は訪れないという認識から抜けられないのだ。実際は20年ほどのち2001年に、缶ビールで急成長したアサヒビールに首位の座を明け渡すという、歴史的な逆転劇を許してしまった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD105910Q5A410C2000000/
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