格下げの理由

格付け会社ムーディーズは、米国の信用格付けを最上位の「Aaa(トリプルA相当)」から「Aa1(ダブルAプラス相当)」に引き下げました。ムーディーズが格下げの主な理由は

  • 債務負担の増加予測

が原因です。政府の債務負担は上昇し続けており、コロナ禍で急激に増加したのが要因です。債務の対GDP比は2024年の98%から2035年までに約134%に上昇するとの予測も示されています。(日本は対GDP比250%となっています)

政治的な反応

この格下げに対する反応は分かれています。トランプ大統領の経済アドバイザーを務めた保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のスティーブン・ムーア氏は「言語道断」と強く反発。「米政府が裏付けする国債がトリプルAでないとしたら、何がトリプルAなのか」と述べています。

一方、民主党上院議員は「ムーディーズの米国債格下げは、トランプ大統領と議会共和党に対し、財政赤字を拡大させる税制優遇策の無謀な追求をやめるよう警鐘を鳴らすもの」とする声明を出しました。

立場によって反応は変わるものですが、両極端な意見に分断されています。

今後の影響

格下げの影響を受け、米国債市場では利回りの上昇が見られました。しかし、市場分析家の多くは格下げのタイミングを予期していなかったようです。米国の信用格付けが下がったことは、今後の財政政策に重要な転換点となる可能性があります。すぐに市場に結果が出るかはわかりませんが、長期的に見て、影響が出るのは確実です。

まとめ

ムーディーズによる米国の格付け引き下げは、世界最大の経済大国であり基軸通貨国である米国の財政状況に対する懸念を表しています。ただし、米国経済の基礎的な強さ自体は認められており、すぐに危機的状況になるとは考えにくいでしょう。しかし、長期的な財政の持続可能性という課題に対して、具体的な対応策が求められていることは明らか。今後も揺るぎないポジションにあるとは考えない方がいいでしょう。基軸通貨も変わっていくことは歴史が証明しています。時間をかけて変わることは想定しておくべきでしょう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆 from2011