共同運営か

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガ銀行がATMの共同運営を検討開始。競合他社同士の協調という従来の常識を覆す動きです。この動きは、企業経営における構造的変化を浮き彫りにする興味深い事例だと感じました。今回は、その理由を探っていきたいと思います。

ATM運営の知られざる現実

日常生活において「あって当たり前」の銀行のATMでした。しかし、最近では銀行に行くことすらありません。コンビニのATMがあるからです。利用が少なくなった銀行のATMは現在では、銀行側から見ると高いコストとなってしまっています。維持コストが高いのです。

24時間体制の監視・警備システム、定期的な現金輸送、設備の保守・メンテナンス、設置場所の賃料負担といった膨大な運営コストが発生しています。「負の資産」となっているのです。

企業戦略の根本的変化

戦略的協調によりコスト削減を実現し、継続的なATM運営ができるように考えているのでしょう。そこが狙いです。撤退できないエリアもあるので、存続が義務付けられているのです。期待と存続を実現するために3行で共同運営を検討するに至ったと感じます。他の業界でも似たようなことが発生しています。
・小売業界:過疎地店舗の共同運営モデル
・物流業界:ラストワンマイル配送の協調体制
などです。コンビニの配送を共同で行ったり、業界を問わず一緒に配送を行うニュースも目にするようになりました。今までにない動きです。こうした構造変化は業界を問わず進行するのがわかります。構造変化からくるビジネスの変化です。過去の競争相手とも共同で運営するとは、本当に厳しい局面が部分的に表出していると感じます。

まとめ

3メガ銀行の取り組みは単純なコスト削減を目指しているのではないと感じます。今後、業界の存続をかけて、競争から協調へ、短期から長期へと戦略転換を示しているからです。人口減少の日本において、業界のシュリンクは避けられません。そのとき、不毛な饗応は避けたいのが本音だと思います。共同しながらコストダウンできるところを模索し、お互いが存続できる道を見つけていくのではないでしょうか。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆 from2011