かつてはあったが現在は1つのみ

かつて日本中を駆け巡り、多くの人々の旅の思い出を彩ってきた寝台列車。現在は、姿を消しています。残っているのは、サンライズ出雲・瀬戸だけです。だんだんと減少しているのです。そんな中、JR東日本が、2027年春に新たな夜行列車を導入すると発表。内容としては、首都圏と東北を結ぶ列車です。列車の内容は、全席グリーン車の個室タイプと発表されています。では、なぜこの時期に寝台列車と復活させるのでしょうか。

移動する時間そのものを楽しみたい

移動は
・より速く
・より短時間
を求めてきました。さらに、時間と価格も検討され、交通手段を判断しています。出張だけでなく旅行でもそうでした。しかし、旅行においては、移動する時間そのものを楽しみたい、という欲求が強くなっているのです。インバウンドの方を見ていると、特急に乗らず、在来線で移動されている人を見かけます。料金を節約するためでなく、移動を楽しんでいるのです。このように、価値観の多様化、価値観の変化が感じられます。今回復活する寝台列車は新幹線より料金が高くなるようです。時間もかかるし、料金も高い。その分、移動すること自体が楽しみなイベントになっているのです。

環境配慮

ヨーロッパでは、国内移動は電車を優先する。そんな動きが以前からありました。飛行機移動を減らすためです。環境に配慮した価値観です。そのため、ヨーロッパでは寝台列車を選択する人の割合も多いのです。その流れが日本にも来るかもしれません。環境に配慮した乗り物であり、しかもエネルギー効率も高い乗り物。移動するときに、余計な配慮をする必要がないのです。

まとめ

JR東日本が発表した新しい夜行列車は、単なる過去の列車の復活ではありません。それは、現代の旅行者のニーズを的確に捉え、新しい価値をまとった「進化版寝台列車」と言えるのではないでしょうか。時短、効率重視だけの価値観ではなく、移動自体も楽しんでしまう価値観の変化をとらえたビジネスだと感じます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆 from2011