会社の「暗黙知」

長年の経験を持つベテラン社員の頭の中に眠る、マニュアル化されていない「暗黙知」。経験を活かしきれていない側面です。これをデータ化し、組織全体で活用したいというニーズが以前からありました。しかし、実現できるツールがほとんどなかったのです。費用をかければ実現できますが、実際にはそこまでする企業の方が少なかったのです。これが実現できる世界が今後は来るのかもしれません。

暗黙知はなぜ重要なのか

暗黙知とは、個人の経験やカン、コツによって培われた、言葉や文字では表現しにくい知識のこと。たとえば、「このトラブルは、まずここを疑うと早い」とか、「あの顧客は、こういう伝え方をすると納得してくれる」といった類のもの。ベテランの方が来ると今まで解決できなかったことが解決してしまう事例を思い出すことができるのではないでしょうか。

これらの暗黙知は、業務効率化や問題解決に直結する財産ですが、特定の個人に依存しているため、その人が異動したり退職したりすると、失われてしまうリスクがあります。

暗黙知を「形式知」に変える

ベテラン社員へのヒアリングや過去の議事録、メールなどのデータを蓄積しておくと、暗黙知を形式知に変えることができます。ツールが進化してきたので、これらのデータがあれば、形式知への移行が可能なのです。

形式知化された暗黙知は、誰でも簡単にアクセスできるようになります。疑問が生じたらツールで調べるだけで、必要な情報や解決策を瞬時に得られるため、以下のようなメリットが生まれます。

  • 知識の定着と伝承
    特定の個人に依存せず、組織全体で知識を共有・継承できるようになる
  • 業務効率の大幅アップ
    情報検索にかかる時間が減り、本来の業務に集中できる。生産性もアップする
  • 人材育成の加速
    新入社員や若手社員も、ベテランのノウハウを素早く吸収し、成長を促進できます。
  • 顧客対応の質向上
    顧客からの問い合わせにも、より迅速かつ正確に対応できるようになります。

今後の展望

ツールの進化により高度な推論や個別最適化された回答が可能になるでしょう。暗黙知を最大限に活用できると、企業の競争力を高め、先に行くことができるでしょう。また、個人の能力も飛躍することが予想され、ツールを使いこなすことで差が開くことが予想されます。

まとめ

会社にも、眠っている「暗黙知」はありませんか。ある場合は、財産を眠らせていることになります。 それをツールで引き出し、組織全体の力に変える時が来ています。

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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011