人員減でも「応援」で乗り切れる
スタッフがひとり減ると、チーム内では、納期遅れや顧客クレームを防ぐために臨時ヘルプや残業で「応援」を行うことが増える。最近もよく耳にする事象のひとつ。人が減って困っているので採用してください、と言っている割には困っていない様子があるのです。緊急度が低い様子に見えます。おそらく緊急的なヘルプによって何とかなっているので、問題が小さいと考えているのでしょう。
臨時的なヘルプは短期的には危機回避に成功し、チームの納期遵守率などは維持される。しかし、ヘルプに頼りすぎると過重労働・モチベーション低下というリスクが顕在化する。ムードが悪くなるのです。さらに、他部署に応援を要請するとリソース争奪が起き、結局全社の残業時間は減らないまま、組織全体の稼働が低下してしまう。
したがって「ヘルプだけで何とかなる」という考え方は、部分最適に過ぎず、根本的な課題解決には不十分であると考えています。根本が完治しない治療のようです。表面的な治療しただけの状態と言えるのではないでしょうか。
成功事例から学ぶ全体最適
日本の文化なのか、ヘルプで何とかクリアすることを賞賛する傾向にあります。しかし、それでは続かないと感じており、いつも苦言を呈しています。そんな中、仕組みとしてクリアする事例も出てきています。
- 製造業:「ライン応援チーム」と交代制シフトを導入。シフト変更に対応できるチームの存在が解決に導いた
- IT系:工程(スケジュール)の中に、予備日の設定と週1回の技術共有会を組み合わせにより対応できるようになった
- 小売:繁忙期にパートタイム応援+需要予測を実装し、人員確保を計画的にした。事前準備ができ解決しやすくなった
これらの事例は「ヘルプ」の人員やチームを制度化し、プロセス改善と併用することで、部分最適から全体最適へと転換できた典型例になります。このように仕組みとして設置しなければ根本治療は不可能です。
まとめ
「だれかのヘルプがあるから大丈夫」という考え方は短期的な救急処置に過ぎず、組織の長期的成長には不十分。全体最適を目指すためには、仕組みを作ることを優先してください。そのために編成を変えたり、シフトを変えたりする有効な手段です。
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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011