地域金融力強化プラン

金融庁が毎年出している「金融行政方針」が公開されました。この方針が発表されるのは今回で11回目。昨年2024年のときに、金融行政方針の廃止が検討されたことがあります。前年度を踏襲しておりつくる意味がない、という発言があったようです。しかし、昨年も今年も金融行政方針は発表されています。今年2025年度は、発表内容の分量は減っており、簡素化されています。

その中で、「地域金融力強化プラン」を年内に提示すると明示されています。今回はそれを取り上げます。

なぜ

なぜ、地域金融力強化プランを策定するのでしょうか。それは、地域の金融機関が地元に貢献する力が大きく、期待値が高いからです。

  • 地域金融の地域経済に貢献する力(=「地域金融力」)への期待は極めて強い

その期待値に応えるために、地域金融機関が目指すことは次のとおり。

  • 地域から日本全国や世界に製品・サービスを提供するような企業が生み出し、地域の経済・雇用を牽引する
  • 人手不足解消のための地域金融機関による仲介(例:レビキャリ )
  • M&A・事業承継支援

これらのゴールに向かって地域金融機関に対して金融庁は

  • 金融機関法の資本参加制度、資金交付制度の期限延長・拡充などを検討

となっています。このような内容をまとめパッケージ化したものを年内に提示する予定だそうです。

2025事務年度:金融行政方針について:金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r7/20250829/20250829.html

まとめ

金融庁の方針は地域金融機関は無視できない内容です。そのため、金融庁の発信する内容は次の金融機関の方向性を決めていきます。金融機関は、地域に貢献する力を強化することを金融庁から求められている状態。不祥事があった金融機関の事例も軽く触れられており、適切な経営も求められています。(「資本参加先において極めて不適切な業務運営が長年にわたり続けられた事案も踏まえ、対象金融機関の適切な経営管理・業務運営の確保にも十分留意する」)

方針について大きな方向転換はありませんが、金融庁が金融機関に求めている内容は把握しておきたいと感じます。そのため、金融行政方針の公開は毎年ほしい資料のひとつです。来年も発表されれば取り上げていきます。

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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011