同じ環境でなぜ成長スピードは違うのか
職場による「環境の変化」は成長に影響があるのか、ないのか。確かに、新しい環境に身を置くと、自然と適応し、スキルや視野が広がることがあります。これを「環境依存性」と呼んでいます。環境に左右される事象です。否定できないでしょう。
しかし、同じ環境にいても、人によって成長のスピードや深さが違うのはなぜでしょうか。疑問です。その答えは、「課題依存性」にあります。これは、個人が自ら目標を設定し、具体的な課題に取り組むことで得られる成長のこと。単に環境に適応するだけでなく、「どうすればもっと効率が上がるのか」「なかなか解決できない、この問題を解決するには」と能動的に行動することで、成長は飛躍的に加速します。同じ環境でも、自ら課題を見つけて行動する人と、そうでない人との間には、大きな差が生まれるのです。
・環境依存性
・課題依存性
の2点から考えると、自分のまわりで発生していることが、どちらかに当てはまるのがわかるのではないでしょうか。
環境だけでは成長は起こらない
環境は成長の機会を提供しますが、それだけでは十分ではありません。たとえば、どんなに優れたスポーツジムに入会しても、実際にトレーニングをしなければ筋肉はつきません。
この「トレーニング」にあたるのが、課題依存性です。新しい知識を学ぶ、未経験のプロジェクトに挑戦する、困難な人間関係を解決しようと努力する。こうした能動的な行動が、本当の意味で成長させます。
環境依存性と課題依存性は、どちらが優れているということではなく、両方が揃って初めて意味を成すもの。成長の土台として良い環境は不可欠ですが、その環境を最大限に活用できるかどうかは、本人の課題意識と行動にかかっているのです。
成長は「環境」と「行動」の掛け算
成長は、環境という土台と、課題への取り組みという能動的な行動の掛け算によって生まれいると解釈しています。良い土台(環境)があっても、根を張る努力(課題への取り組み)がなければ、大きな木は育ちません。
逆に、成長意欲が高くても、良い土台(環境)がなければ、その可能性は制限されてしまうでしょう。これら2つのバランスを意識し、課題を見つけ、解決する習慣を身につけること。それが、成長を力強く後押ししてくれると感じます。
まとめ
仕事ができる人のチームに入ると成長が加速する。これは事実です。しかし、全員がそうなるわけではありません。環境は刺激でしかないのです。その刺激を受け、能動的になり、自ら課題を解決していく人が成長する。環境と課題はセットだと感じます。現在の問題は、課題設定が自分しか設定できないことです。まわりから、課題を設定される機会が減りました。これはマイナス要因。そのため、成長が遅くなる傾向にあります。その点を考慮しながら、進めたいと最近は感じています。
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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011