2つに分ける
毎日のように目の前にあらわれる問題。問題は、仕事のプロジェクトから人間関係、さらには社会全体が抱える課題まで様々ありますが、解決にはシンプルに2つの方法しかありません。その問題をどう解決するかは、その問題が一体何であるかによって分けられるのです。
「技術的問題(Technical Problem)」と「適応課題(Adaptive Challenge)」の2つに分けて考えることを提唱した方がいます。このシンプルな区別が、問題を解決する上で非常に重要な示唆を与えてくれます。今回は視点を2つ増やすつもりで読んでみてください。
技術的問題(Technical Problem)
技術的問題とは、既存の知識やスキル、確立された手続きで解決できる問題です。この場合、問題に対して明確な答えを提供でき、解決に至るまでにはスキル、技術があれば到達できる問題です。問題が顕在化された時点で、解決策を見つけられれば問題なくクリアする問題だと考えてください。特徴としては、次の内容があります。
- 明確な定義:
問題がはっきりと特定でき、原因が特定しやすい。 - 既知の解決策:
過去の経験や専門家の知識に基づいた、実績のある解決策が存在する。 - 権威者による解決:
リーダーや専門家が問題の診断と解決を主導する。
適応課題(Adaptive Challenge)
一方、適応課題は、人々の価値観、信念、習慣を変えることを要求する、より複雑な問題です。この問題は、従来の専門知識やリーダー一人の力だけでは解決できません。関係者全員が学び、価値観を再評価し、新しい行動パターンを開発する必要があります。リーダーは解決策を与えるのではなく、皆が自ら答えを見つけ出すための環境を整える役割を担います。特徴は次のような内容になります。
- 不明確な定義:
問題が複雑で、複数の要因が絡み合っているため、明確に定義するのが難しい。 - 未知の解決策:
既存の知識や方法論だけでは解決策が見つからない。新しい学習と実験が必要。 - 関係者全員による解決:
問題に関わる全員が責任を持ち、変化を主導する必要がある。
なぜこの区別が重要なのか
陥りがちな罠は、適応課題を技術的問題として扱ってしまうことです。たとえば、社員のモチベーションが低いという適応課題を「研修を増やせば解決する」という技術的問題として扱っても、根本的な社内文化や人間関係の問題は手つかずのまま。解決しません。
なので、適応課題の解決には、リーダーが適応的リーダーシップを発揮し、関係者が自ら解決策を発見し、実装するためのプロセスを促進することが求められます。
まとめ
責任者になる人が求められてきた内容は参考になります。技術的問題だけではなく、適応課題も存在していることがそこからわかるはず。問題を解決する秘訣として、新しいツールに対して、真っ先に利用することが有益でしょう。原則だけ見れば、とてもシンプルなので、とにかく実践してください。
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