勝ち負けではない視点
人と意見がぶつかるとき、「対立」だと感じます。全否定された気分にもなります。中には、人格否定ととらえる人もいるでしょう。しかし、その感覚がときに、解決への道を閉ざしてしまうことがあるのです。なぜなら、対立には「勝ち」「負け」という概念がつきまとうからです。
自分が正しく、相手が間違っている。そう思い込んでしまうと、お互いを打ち負かそうとする非生産的な争いに陥り、関係はこじれていきます。勝負の先には、どちらかが勝ち、一方が負けるしか残されていません。
ですが、この状況を「対立」ではなく「隔たり」ととらえ直してみましょう。隔たりとは、お互いの価値観や考え方、経験の違いから生じるギャップのこと。
そこには勝ち負けの概念はありません。お互いが違う場所にいる、ただそれだけのシンプルな事実です。この視点を持つことで、相手を否定するのではなく、その違いを認識することから始められます。
「隔たり」がもたらすメリット
隔たりという言葉には、相手との違いを客観的に認識するニュアンスが含まれています。そして、この隔たりを認識することで、もっとも重要な利点が生まれます。それがいわゆる「歩み寄り」です。
対立が「戦い」だとすれば、隔たりは「距離」です。距離としてとらえることで、お互いが一歩ずつ近づくことで埋めることができるのです。相手を打ち負かそうとするのではなく、お互いの違いを認め、その上でどのように理解を深めていくことになります。それが、最終的には、建設的な思考へと切り替わっていくのです。
- 歩み寄りの可能性:
隔たりは、埋めるべき距離と考える。お互いが一歩ずつ近づくことで、距離を縮める。それが、理解を深めることになる。歩み寄りで、新しい解決策を見つけ出すことへつながる
- 相手の尊重:
相手の意見や価値観を尊重することになる。違いを認め合う姿勢が生まれ始める。
- 非生産的な争いの回避:
勝ち負けにこだわらないため、無用なエネルギーの消耗や感情的な衝突を避けることができます。
まとめ
どうしても対立する場面があります。そのとき、対立という言葉をNGにして、「隔たり」を埋めていこう、と伝えることで解決に向かうことがあるのです。この方法は知っておくべきでしょう。対立は、激しい対立だけでなく、静かな対立もあるので、それを「隔たり」に置き換えたり、言葉を変換することで、思考回路を切り替えてしまうのです。切り替わった瞬間に、思考は距離を縮める方向に向かうはず。知っておく言い換えだと感じます。
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