溜めてからギリギリで処理する人がいる
「仕事(タスク)を溜めてから一気に片付ける」傾向はありませんか。これ、よくあるケースだと思うのです。後からまとめてやって方が効率がいい、と考えてしまうからです。しかし、後からまとめて行うと、意外に苦痛をともないます。たとえば次のようなケース。
- 日々の伝票スキャンを週末にまとめて行ってしまい、あとから検索に苦労する(日付同日が多数あるため)
- 社用車(作業車)の中にゴミが溜まってしまう
- 提出期限ギリギリになってから集中力を発揮して資料を仕上げ提出している(遅れることもある)
このような行動は、単なる「怠惰」や「だらしない性格」で片付けられるものではありません。その裏には、特定の心理的要因や脳のメカニズムが隠されています。今回は、「仕事を溜める人」の特性を心理学的に分析してみたいと思います。
「溜める人」の二面性:集中処理型の特性
仕事を溜める人は、「先延ばし癖」がある一方で、締め切り直前の状況下では非常に高い能力を発揮します。その特性は、「回避欲求」と「集中力の依存」があります。
心理的特性:回避欲求
回避欲求とは、ストレスを感じることに対して回避する傾向にあることです。回避しながら先送りしてしまう。そこに大きな原因はありません。なんとなく、回避してしまう。そして、回避できてしまう環境があるので、先送りしてしまうのです。
| 特性 | 隠された心理 | 弊害 |
|---|---|---|
| 回避欲求 | 面倒なタスクへの着手時に感じる「不快な感情」を避けたいという強い欲求 | 伝票スキャンやゴミ捨てなど、小さなルーティンが後回しになる |
行動的特性:集中力への依存
仕事を溜める人の中には、「マルチタスク」が苦手で、特定のプレッシャーのもとで最高のパフォーマンスを発揮する集中処理型が見られます。簡単に言えば、
・締め切りがないと動けない
・締め切り直前にならないとやる気が起こらない
となりますが、そのような経験はだれしもあるのではないでしょうか。それはそれで、わるいことではないのですが、後から行うと大変さは倍増するので、締め切りを過ぎてしまうことも発生してしまいます。
「溜める」ことのデメリット
タスクを溜めることには、法則性があります。下記事例を見れば、その法則性がわかると思います。
事例①:伝票処理スキャン、旅費生産など
溜め込む仕事の代表格が事務処理です。これは、期限が月に1回(締日)しかないことから発生します。月に1回の締め切りに間に合わせればいいのです。そうなると締日前に一気に処理する人が出てくるのです。改善方法は次のとおり。
- 毎日処理
ファイル名に日付が自動付与され、「いつの、何の伝票か」が明確になり、監査や経理で瞬時に検索可能になる。ようするに、自分にとってメリットがあることを理解すること。そこからです
事例②:社用車などの清掃・維持
他にも美化、清掃に関しても同じことがいえます。たとえば会社のクルマに関しては、毎日清掃する会社ほど事故が少ないと言われています。毎日軽く水洗いをする会社もあるほどです。
- 毎日ルーチーン:
車を降りる数秒でゴミを処理すれば、車内は常に清潔で快適。何かを探すことも少なくなり効率的になっていきます
まとめ
溜めてしまうのは、能力や性格ではなく、脳がストレスを回避しようとする自然な傾向。本能的な動きだと考えています。なので、本人を追求しても反省させても意味がありません。重要なのは、「意志の力」ではなく、「行動をうながす仕組み」があることです。そのスタンスで進めていきましょう。
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