記録する動き
人事評価。多くの企業が「公平で客観的な評価」を求めて、制度やシステムを整えます。ただ、決定打はありません。不完全な状態で運用しているのが実態です。それを是正する動きがあります。
・「何をしたか」をすべて記録すれば評価は正確になるのではないか
そんなシンプルな発想があるのです。
しかし、実際には、すべてを「記録」することはできません。そのため、記録することを増やすことを目指す動きになるのです。
「記録が多いほど精度が高い」
行動は真実。嘘をつきません。そのため、行動記録からわかることがあるのです。数値化が日本でブームになって数年経ちますが、これも似たような動き。ブラックボックスになっている仕事内容を明らかにする動きなのです。
たとえば、
・「Aさんは35件のメールを送った。Bさんは5件だけ。」
この記録を見れば、Aの方が「頑張っている」と思えます。しかし、もっと詳細の行動を明らかにすると
・「Aさんは納期回答のメールを35件送った。Bさんは新規開拓、新規商品提案のメールを5件送付した。」
となれば、評価も変化してきます。
記録は、評価の公平性を高めるための「土台」。ですから、「記録が多いほど精度が高い」という考えは正しいと思います。
記録は「事実」を示すだけ
たとえば、Aさんが「トラブル対応をした」と記録が残っているとします。しかし、その対応の結果が実はこれだけではわからない。
・トラブルを解決し顧客は満足した
・トラブル解決したが顧客はまだ不満が残っている
・トラブル解決だけでなく、将来発生するトラブルを予想した
・将来のトラブルまで未然に防ぐ対応までした
という状態があり、トラブル対応をした、という記録だけでは、実は何もわからないのです。
まとめ
人事評価は、「データ」で終わるのではなく、人を理解することが最終の目的。そのためにも、記録は欠かせないものになるでしょう。記録を残せないスタッフは「評価できない」となるかもしれません。営業やマーケティングの世界では「顧客の行動」をリサーチし続けていますが、それと同じように人事評価については、スタッフの行動を記録し続けることになると思います。そこは自動化がベストですが、毎年少しずつ残す記録の量を増やすことも人事評価においては大事な部分だと感じています。
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