既製品が現場に定着しない

新しいシステムやアプリを導入しようとしたとき、こんな経験はないでしょうか。便利そうなツールを見つけて現場に紹介する。しかし、使い始めた途端に
「ここが使えない」
「この機能がうちには合わない」
という声が上がる。結局、元のやり方(エクセルなど)に戻ってしまう。これは珍しい話ではありません。むしろ、ITツール導入の現場では日常的に繰り返されている光景だと感じています。思い出しました。
「エクセルがいいんです!」
と叫んだ方も過去にいました。新しいシステムの方が生産性が上がるはずなのですが、どうしても固執するタイプの方です。

なぜこうなるのか。答えはシンプルだと思います。

人はカスタマイズ(オーダーメイド)されたものしか使わないからです。どれほど優れた既製品であっても、自分の業務にぴったり合っていなければ使い続けようとは思えない。動機が上がらないのでしょう。

100の機能のうち99が便利でも、たった1つの「ここが合わない」が致命的。人は使えない部分に目が行き、使える部分は当たり前だと感じてしまうもの。

この人間の性質を理解せずにツールを導入しても、定着することはありません。経営者が向き合うべきは、ツールの機能ではなく、「人は自分に合ったものしか使わない」というこの現実を知っておくことでしょう。

「ここが使えない」の一言で終わる

既製品のシステムやアプリは、汎用性を重視してつくられています。さまざまな業種、さまざまな規模の企業が使えるように設計されている。だからこそ、どの会社にも「だいたい合う」けれど「ぴったりは合わない」という状態になります。このわずかなズレが、現場の人にとっては大きなストレス。しかも、導入を拒否する理由にもなるのです。

現状維持バイアスがあるのが普通で、現状維持バイアスが強い人は特に「導入したくない」理由を探すものです。勤怠管理のシステムが
・うちの働き方に合わない
と拒絶された例は複数見たことがあります。特殊なケースがあるので、使えないと言われてしまう。何度も同じ光景を見てきました。

カスタマイズの時期が来ている

では、どうすればいいのか。以前であれば、自社に合ったシステムをゼロからつくるには多額の開発費と時間が必要でした。だから既製品で妥協するしかなかった。もしくは導入をあきらめるしか無かった。

しかし今、AIやノーコードツールの進化によって、カスタマイズのハードルは劇的に下がりました。自社の業務に合わせて制作する、調整する。あるいは、必要な機能だけを自分たちでつくってしまう。そういう選択肢が現実的になりつつあります。今すぐではないかもしれませんが2026年中にはそうなるでしょう。そのスピード感は想像以上に速くなっています。

まとめ

自社の現場にフィットする形に仕上げる。それが当たり前になります。これはシステム導入だけの話ではありません。ビジネス全体において、顧客フィットの精度を上げなければビジネスの成果が上がらないようになるでしょう。ハードルが上がり続ける時期ですね。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆