発言が注目されている
経済同友会の新浪代表幹事の言葉には、常に多くの人々の注目が集まっています。最近でも「金利ある経済へ 国民理解の上で」という発言が、話題となっています。新浪氏はその多彩な経歴から、ビジネス界での評価も非常に高い。ローソンの代表を歴任した後、サントリーホールディングスの代表として、そのリーダーシップを発揮しています。以前、講演に足を運んだことがありますが、その時に感じた発言の力強さや独自の視点は、今も記憶に残っています。
以前も
新浪氏が以前に発言した「45歳定年制」という提案は、当初多くの議論を巻き起こしました。もともとの意図は、45歳ぐらいで再教育や再挑戦の機会を持つこと。第二のキャリアを考えるというビジョンでした。しかしそれが、一部で「45歳での雇用終了(リストラ)」という風に受け取られることとなり、真意とは異なる反響が広がったのは記憶に新しいところです。
就職してから20年間ぐらい経過するとスキルの劣化が表面化します。そのため、リスキリングや再教育で新たなスキルを手に入れて、次の人生を歩むという人生設計を伝えたかったのでしょう。その表現として「45歳定年制」という表現は適切ではなかったのかもしれません。しかし、話題になるために意図的に「定年」という言葉を入れた可能性も否定できません。自分の発言がメディアにどのように取り上げられるのかはわかっていたはずです。そこに本音が隠されているように当時は感じました。
今回は
そして今回、新浪氏が提起している「金利ある経済へ」というテーマ。これは単なる金融政策の話題を超え、国民一人一人が経済にどのような意識を持つべきか、という大きなテーマを投げかけていると感じています。あえて、経営者という立場から「金利ある経済へ」という発言には意味が込められているでしょう。日銀の方向転換について、経済人として説明を加えた形になります。金利がある生活へ戻る、という日銀の意思を代弁した形です。しかし、「デフレマインドが残っている」ことにも言及しており、元の通りに戻ることは時間がかかることを示唆しています。あくまでもビジネスはビジネスとして判断するつもりだと思います。
まとめ
メディアで注目される方の発言は、背景に隠された意味があるときがあります。「ポジショントーク」といって、意図的に世論を誘導することもあるからです。今回は誘導的な感じはしませんが、インフレが続くことを示唆し、その課題に経営面で直面することを予想しているのではないでしょうか。そこに大きな壁があることも認識している発言だと感じます。「インフレも不可避だが、デフレマインドも払拭できない」という課題を予測した発言だと思います。
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