ぬるま湯だったのが
日銀の金融緩和政策からの転換(大規模緩和の転換)があり、日本は「カンフル剤での『ぬるま湯』の時代」から脱却しつつあります。この表現は、経団連会長の談話です。大規模緩和が日本にとってカンフル剤でした。2%のインフレ目標で行いましたが実際には10年以上も実現しませんでした。この大規模緩和により企業経営はカンフル剤による「ぬるま湯」状態だったことがわかります。競争も激しくなく、値上げもなく、賃上げもほとんどなかった時期が終わったことになります。
ビジネスモデルか
この変化は競争の形態を変えていくことになります。20年ぶりにビジネスモデルを変える企業も出てくるでしょう。このまま値上げを続けられるビジネスモデルならば何もないのですが、値上げすることが厳しい業界においてはビジネスモデルの転換が迫られているのです。ビジネスモデルの転換で到達しない場合は、新規事業へと展開することになります。
顧客志向と差別化
価値を付加し、値上げ可能なビジネスにするには、ポイントがいくつかあります。今回は、「顧客志向」と「差別化」を取り上げます。理由は、人口減少が予想される市場において顧客志向の差が出てくるのではないか、と考えているからです。支持してくれる顧客層によって企業の経営が左右されていくとも考えています。また、差別化に関しても成熟した市場の場合、差別化ポイントがほとんど発生していない状況も見受けられます。そのため差別化によって価値が発生しやすい状況になっていると考えています。
最後はロイヤリティ獲得へ
顧客志向とは、顧客のニーズを深く理解し、それに応えるための努力を惜しまないことです。特定の顧客層に特化したサービスを提供することで、満足度を高めることができます。ここに関しては、どのビジネスもまだ余地があります。完璧な業界はありません。顧客の不満は残っているのが普通だからです。
顧客満足度を高めていくと、最終的にはロイヤルティを獲得することになります。LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化させる戦略です。このポイントは今後、メインの戦略となると予想しています。
差別化のポイントは
差別化は、中小企業が競争に勝ち抜くためのもう一つのカギです。他者と同じ土俵で競争するのではなく、自社の強みを活かした独自の価値提供に注力することが求められます。他者が提供している内容と同じでは差別化になりません。顧客から見ても同じように見える製品・サービスを提供しても差がつかないことになります。
とはいっても、差を生み出すことのできるコンテンツはそんなにありません。あるならば、差別化できているはずです。ないのであれば、つくり出すことになるでしょう。最初は、他者にはない独自の製品やサービスを開発し、提供することからスタートです。おそらく、提供しても反応がないのが普通です。他者にない独自な内容が顧客の求めている内容とずれているからです。ただ、最初はそこからスタートなのです。差別化ポイントを何度も訴求することで顧客の求める内容とマッチングしていくからです。
ここで差をつける
差を生み出す簡単な方法をお伝えしておきます。それは、「機動力」と「柔軟性」です。機動力と柔軟性によりアドバンテージができあがります。他者と比較して、意思決定が速く、対応力が高いことが強みです。この強みを評価してくれる顧客が市場にいれば、差別化となっていくのです。
ただ、注意が必要なのは、簡単に差を生み出しますが、簡単に他者にマネをされることです。簡単に生み出せるものは、他者も簡単に手に入れることができるのです。優位性は永遠ではなく、マネされたら次のポイントを生み出すことになり、生み出す→マネされる→再度生み出すというサイクルに入ることになります。
まとめ
「ぬるま湯」から脱却し、競争の荒波に乗り出す時期に来ています。この転換期はある程度の年数続きます。そのため差別化ポイントを生み出し続けることが優位性をつくりあげていくでしょう。そのサイクルを構築し、そのサイクルが自然な形で回り続けるようにするのが理想です。
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