賃金アップのため
2024年春は賃金アップが成功した年でした。これが2025年も継続するのかという点に注目が移っています。特に中小企業の賃金アップを実現するには値上げを成功させなければなりません。産業構造上、下請けのポジションの企業は、どうしても厳しい状況下にあります。値上げできない状況に置かれてしまっているケースもあり、そこにも論点が移っています。解決として下請け状況を監視する仕組みを強化しています。
毎年増員している
そのひとつが、中小企業庁の「下請けGメン」の増員です。「下請けGメン」は、2017年に80人で発足。下請け業者の不当な扱いを監視する部署です。2022年度には248人に増員され、今年度はさらに330人まで増員される予定となっています。
「下請けGメン」は、下請け代金の支払い遅延や減額、不当な返品などの問題に対して取り組んでいます。昨年から、ニュースでも取り上げられることが増えました。ある業界では、協力会社に金型などの保管を押し付けており、長年の保管料を支払うことになったケースもあります。
消費税アップのとき、消費税アップ分を請求できているかの確認が書類で送付されてきたことを思い出しました。業界によっては、消費税が8%から10%になっても、請求総額が変わらないケースもあったと聞いています。実質値下げを暗に要求されていることもあったようです。
中小賃上げへ、アメとムチ:
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80451170S4A500C2EP0000/
「下請けGメン」は2017年度に80人で発足した。22年度には248人に増員しており、今年度はさらに330人に。日本経済新聞
フリーランス保護法
フリーランスの労働環境改善に向けても同様な動きがあります。報酬減禁止の動きです。フリーランスは、雇用関係にない独立した働き方であるため、労働関連法規の適用外となることが多く、報酬の減額などの不当な扱いを受けるリスクがありました。しかし現在は、フリーランス保護法が施行される予定になっています。
この報酬減禁止措置が実現すれば、発注者との力関係によって、不当に報酬を減額されることがなくなり、フリーランスの安定性が高まることが期待されます。また、この措置は、フリーランスの権利を守るセーフティネットとしての役割も果たすでしょう。今後、働き方のひとつとしてフリーランスが増加すると予測しています。
フリーランスの報酬減禁止
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80002970S4A410C2EA4000
まとめ
下請けGメンの増員は、最終的に賃金アップという形で表出することになるでしょう。成果が出れば、賃金アップが継続し、ゆるやかなインフレーションが実現すると思います。まだ時間のかかる内容ですが、定点観測していきたい領域です。
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