ベテラン担当の抵抗

長年同じ顧客を担当してきたベテラン営業パーソンが、担当変更に強く抵抗するケースがあります。売上が伸びている場合は同じ担当でも問題ありませんが、売上減少の場合は、そうはいきません。担当変更に反対している人が挽回策を考えている場合は、同じ担当を継続することも選択肢のうちのひとつ。しかし、何の策もなく、単に抵抗している場合は、他の選択肢を考える機会になってしまいます。

問題点は

今回のケースでは、以下のような問題点が浮かび上がってきます。

  • ベテラン営業が自身の担当領域を「聖域」化
  • 部分最適(自身の仕事内容継続)しか考えていない
  • 事業部全体の利益を考慮していない(視野に入っていない)
  • 新しいメンバーの活用を拒んでいる(経験不足で担当を渡せない)
  • 以前は人員増加を要求していたにも関わらず、実際に増員されると自分が楽になる方向しか考えない

対応策

このような状況は、事業部全体の成長を阻害する可能性があります。全体最適から遠くなっていくのです。ベテラン営業の経験や顧客との関係性は貴重ですが、それが組織の柔軟性や成長の障害になってはいけません。ここ、ポイントです。判断を見誤ると成長から離れていってしまいます。では、どう対応するのか。対応策としては以下のようなアプローチが考えられます。

  1. データに基づく議論:売上推移や顧客満足度などのデータを示し、現状維持では不十分であることを客観的に説明し理解を得る
  2. 段階的な移行:一気に担当を変更するのではなく、新メンバーとの協働期間を設けるなど、段階的なアプローチを選ぶ
  3. 全体最適の重要性を強調:個々の営業担当者の成績だけでなく、事業部全体の成功が個人の評価にも直結することを明確にし合意形成する

抵抗があるのが普通

変化は常に抵抗を伴いますが、組織の成長のためには避けられません。抵抗すること自体は悪いことだとはあまり感じません。正常な反応だといつも感じます。現状維持バイアスがかかっており、未体験ゾーンへへは人は抵抗するものです。そこからスタートして、次の段階へ動くことができるのか。ここでは、少しでも動いていくことが求められています。抵抗にあって、現状維持でミーティングが終わり、継続的なミーティングも開催されないのが最も良くない結末です。歴史ある企業だと抵抗された後に継続的なミーティングが開催されないことが多々あり、成長への変化が発生しないのを何度も見てきました。成長への変化はまずは変化のために1歩を進めることだと実感します。

まとめ

最終的には、全員が同じ目標(事業部の成功)に向かって協力し合える環境づくりがベストですが、最初は全員とはいきません。ひとりずつ理解してもらい、合意形成がなされるので、時間がかかるかもしれません。経営の要になりますが、粘り強く対話を続け、全体最適の視点を浸透させていくことは避けられませんね。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆