未来を描く
企業が長期的な成功を収めるためには、常に未来を見据えた戦略が必要。しかし、その未来像は人それぞれ異なります。特に年齢や経験によって、描く未来は大きく変わってくるものです。というのも、残りの仕事期間によって考え方が違うからです。あるメーカーが昔、取り組んだアプローチがユニークだったので取り上げます。
事業見直し
そのメーカーは、将来の事業再編を考えていました。どの事業を残し、伸ばしていくのか。逆に撤退する事業はあるのか。このような内容を検討したのです。そのとき、世代別にチームをつくったのです。
30代チーム
40代チーム
50代チーム
の3つの年代別チームを結成し、「10年後のあるべき姿」を考えさせたのです。結果は、まさに各世代の特徴を如実に表すものでした。残り期間が長い、短いの違いで大きく内容が違ったのです。
年代別の違い
仕事期間の残りが長い若い世代の方が特徴的な内容でした。アイデアも多く、斬新だったのです。各年代別の内容は次のとおり。
30代チーム:斬新なアイデアの宝庫
若さと勢いを感じさせる提案が多く出た。既存の枠にとらわれない自由な発想は、経営陣の目を引くものが多かった。事業部の新陳代謝が最も激しい内容
40代チーム:現実と理想のバランス
経験に裏打ちされた現実的かつ堅実な提案が特徴。理想を追いつつも、実現可能性を考慮した内容になっていました
50代チーム:安定性重視
リスクを最小限に抑えた保守的な提案が中心。現状維持を基本。緩やかな変革を提案する内容
結局は
最終的にどのチームの戦略を採用したのか。それは、30代チームの提案でした。若手の斬新な発想に、会社の未来を託す可能性を見出したのです。この中には事業部の撤退も含まれていました。大きな変革であり、社内でも抵抗があったらしいです。
この企業は
事例に取り上げた企業はブラザー工業。ミシンから始まり、多角化。家電も作っていました。その後、SOHOの機材であるファックス、コピー機に特化し、現在に至ります。製品が大きく変化したのがわかります。
まとめ
事業の新陳代謝は、成功すれば良い事例として取り上げられます。ブラザー工業も最初は社内の抵抗にあって変革は頓挫したこともあるようです。その中で、年代別チームによるプロジェクトが成功した結果になります。ここで取り上げた理由は、人が描く会社の将来像は、残り年数によって大きく違うこと。残り少ない人は現状維持を選択し、まだ20年間、30年間残っている人は大胆になるのがわかるのです。これは、会社規模関係なく発生する事象。残り少ない人ほど、保守的になり、新しいことを批判し、現状維持に収束していくのです。自覚している場合は良いのですが、実際にはそうでもないようです。
——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆