振り返ると

仕事や生活にスマートフォンが浸透して久しいですが、この便利なデバイスが人の思考プロセスに与える影響について思いついたことを書いていきたいと思います。たしかに、スマホは便利ですが、それによって思考プロセスや思考の深さが変化したのを自分でも実感しているからです。

熟考する習慣

「熟考する」という言葉があります。深く考える、よく考える、時間をかけて考えるという意味です。最近、熟考したことはありますでしょうか。スマートフォンやSNSの普及により、常に大量の情報にさらされている状態は時間が足りない環境。この状況下で、ゆっくりと深く考える機会が減少していると感じています。時間に追いかけられている状態が続いていたり、ショートムービーを見ることで時間が浪費されていったりしており、熟考する機会がなくなっていることさえ気がつかない状態です。

問題発見能力

熟考する習慣の衰退は、問題発見能力の低下にもつながっていると考えています。簡単に見破れるはずのデマが広まってしまうのも、この現象の一例といえるでしょう。疑うことも少なくなれば、何が問題なのかを見抜くことさえしなくなっています。真m田、情報を深く吟味せずに受け入れてしまう傾向が強まっているのです。解決法は検索するとすぐ出てくるので、それで問題がないと認識しているのかもしれません。でも本当の実力は、解決方法を知っていることではなく、問題を発見する能力です。真の問題を発見する能力なのです。

「弱み」の利用

ある哲学者は、「企業が人間の弱みにつけ込んで(ビジネスをしている)」と指摘しています。大量の情報を流し、それを瞬時に処理し、画面に釘付けにする性質を、企業が巧みに利用しているというのです。この指摘も間違っていません。たしかに、画面に熱中するような仕掛けから逃れられないようになっているのも事実です。自分の好みのコンテンツが永遠と流れるようなアルゴリズムが組まれているからです。

他者への攻撃性

深く考える習慣の衰退は、他にも影響が出ています。他者への攻撃性の増加とも関連しているのです。じっくりと相手の立場を考える余裕がなくなり、即座に反応してしまうことが、攻撃的な行動につながっているのでしょう。条件反射的に思考を繰り出すようになっていると考えています。洗脳された状態になっているのかもしれません。

まとめ

スマートフォンやSNSはビジネスや生活に多くの利便性をもたらしました。しかし、それと引き換えに失いつつあるものにも目を向ける必要があります。技術の恩恵を享受しつつ、熟考する時間を意識的に設けることを意識したい。そのためには、オフラインの時間を設定しておくことだと思います。また、読書時間をゆったりと取るのもいいでしょう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆