活用方法公開

金融業界(三菱UFJ)が生成AI活用の取り組み内容を公開しました。これから500億円の投資をしながら、実現する予定の内容です。今回は、その内容(AI戦略)について、取り上げてみます。

3つの分野

今回の内容では、3つの分野を重点に活用を計画されています。
1)営業支援
2)新規事業創出支援
3)働き方改革支援
の3分野です。この3分野からスタートさせる意味としては、課題が大きく効果が大きい、もしくは、効率化、改善が求められている分野なのでしょう。どこから生成AIを導入するかは戦略のポイントになるので参考になると思います。

細かく見ると

3分野を細かく見てみます。

  1. 営業支援
    営業活動の質的向上を目指し、生成AIを戦略的に導入しています。企業向け提案書作成支援システムです。このシステムにより、営業担当者は個別企業のニーズに即した、より精緻な提案が可能となるでしょう。企業向けのプレゼン資料は作成時間がかかります。特に数値をまとめ、グラフ作成や表作成に時間がかかります。これが生成AIだと短時間で作成できます。最近では、データを連携させておけば、「この数値だけ集めて、グラフを作成して」と伝えるだけでグラフ、表作成ができるのです。効果を実感できる利用方法です。
  2. 新事業創出への取り組み
    相続相談や資金繰り提案といった専門性の高い分野においても、生成AIの活用が進められています。特に相続相談では、複雑な法規制や税制を踏まえた提案が求められますが、AIによる情報分析と提案支援により、アイデアが増え、提案内容の企画数が増えていくでしょう。アイデアの増加と比例して新規事業創出の成功確率も上昇していくのです。
  3. 働き方改革を支えるAI活用
    業務効率化の観点から注目されるのが、非定型契約書の自動生成システム。従来、多大な時間と労力を要していた契約書作成業務が、AIの導入により大幅に効率化されるでしょう。法律の分野はAIの得意分野。しかも時間のかかる契約書類は短時間になるほど、成果が大きい。働き方改革に直結すると思います。また、社内手続きなどの業務プロセスも効率性が向上するのを期待されています。

投資対効率

ただ、実際に投資対効率はやってみなければわかりません。期待より低い結果になるケースも出てくるでしょう。しかし、有益な部分はあるはずなので、そこだけでも利用する価値は高いです。AIの進歩は速く、ChatGPTが出てきてから2年が経ち、そろそろAIサービスも一般的な利用が可能なレベルまで簡略化され始めています。

まとめ

AIに完璧さを求めると、まだそこまで完成度は高くありません。そのため利用しない人もいるでしょう。しかし、利用できる部分があるならば、そこから使い始めるのもひとつの方法です。スマートフォン(iPhone)が出てきたときも「ボタンが1個しかないから使いにくい」と言っていた人がいました。しかし、時間の経過とともに、そんなことを言う人はいなくなったのです。AIも時間がかかるかもしれませんが、定着していくと思います。

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