フィットさせるのはなぜ

スキルフィットとは、会社が求めているスキルに適合させることを指しています。スキルがフィットしなければ、ミスマッチになるからです。日本の場合だと、新卒入社も多いので、求められるスキルに到達することが求められています。ただ、これは単に会社が求めているわけではありません。顧客が要望しているスキルであり、顧客が満足するスキルと定義されるでしょう。

単にスキルレベルが高い低いで判断することではないのです。基準は顧客にあったり、世の中に基準があるものです。本質を見誤らないようにしたい点でもあります。

企業も同じ

スキルフィットは個人への定義になりますが、これを企業に置き換えても同じことが言えると思います。単に業界内の企業群が技術を競い合っても、顧客のニーズからズレていくことがあるからです。企業間競争の文脈で語られるべきものではないのです。他社より優れた技術や能力を持つことは、必ずしも真の意味でのスキルフィットを実現することにはならないことがあることを知っておくべきでしょう。

わかりやすい事例が最近出ています。自動車のEV競争です。ヨーロッパの自動車メーカーは、EVへシフトしました。EVシフトを宣言しました。しかし、ヨーロッパで売れているEVは中国製です。顧客もEVシフトしているのですが、顧客が求めていたのは、技術の結集したEVではなく、安価なEVだったのです。

なぜ見誤るのか

企業間の競争はどうしても技術力の競争に陥りがちです。ガラケー時代の「機能増加」現象も同じでした。これだけの機能が搭載されているからNO.1だと主張していたのです。しかし、行き着くところまで行くと、ボタン1個の「スマートフォン」に駆逐されました。現在はボタンさえありません。おそらく、自動車も同じような運命になっていくのではないでしょうか。機能性より、低コストで顧客が満足させられる自動車を開発できるところが生き残ると考えています。ここは自動車業界のパラダイムシフトが発生することでしょう。製造業も変わっていくはずです。

本質探し

本質を探すには、どのようなアプローチから見つければいいのでしょうか。ここは悩みどころです。顧客の求めているものを引き出せる人がヒアリングをすることがポイントだと思います。究極は開発者がヒアリングを担当したほうがいいでしょう。もしくは開発の責任者が顧客からダイレクトにヒアリングを行い、本質を見抜くことだと感じます。簡単そうですが、なかなかできない部分でもあります。

現場の重要性高まる

今後は、バーチャルも拡張し、現実とバーチャルが一緒になっていきます。デジタルツインが広がるでしょう。バーチャル上で、シミュレーションしたり、試験したりすることが増えていきます。しかし、現場には顧客のニーズが落ちています。現場の重要性は高まることでしょう。顧客と直接接している部署が企業の重要部署になってくるのです。営業であったり、コールセンターであったり、電話を受ける担当であったり、問い合わせの部署だったりします。ここから、「こんなこと要望されました」「こんな質問がありました」と報告される内容に価値が発生していくのです。特に、要望までいかない「質問」には敏感に反応したいところです。

まとめ

企業のスキルフィットという視点で考えてみました。企業も個人と同じで顧客から求められているものがあります。それを
・顧客から
・現場から
・顧客の質問から
導き出していくことが経営になっていくでしょう。声を数多く集めることが企業の強さの源泉になると予想しています。数多く集まったデータから答えを導き出すことは今後簡単になります。AIが答えを出してくれるでしょう。しかし、データがなければ答えは出てきません。その点を今から理解して経営の指針にしたいところです。

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