現代の逆説

「すぐに役立つ」ものを求める時代に生きています。すばやい解決、リアルタイムの回答など、これらはすべて現代社会の要求です。しかし、「すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる」と言う説もあります。確かに、そのように感じるときもあります。便利すぎるほと、弊害が出てしまうのです。その点について考察します。ただ、便利な道具を否定することが目的ではありません。そのような側面があるのを認識しておくために書き記します。

現代の魔法

AIは現代のデジタル魔法。数秒で質問に回答し、画像を生成し、文章を書き、データを分析します。それは確かに「すぐに役立つ」ものです。とても便利です。しかし、最先端のAIモデルは発表された瞬間から陳腐化が始まります。数ヶ月後には新しいバージョンが登場し、以前のモデルは時代遅れとなります。AIが生成するコンテンツも同様です。一見有用に見える回答や解決策も、長期的な価値を持たない可能性が高いのです。その点は考慮すべきポイントだと感じています。

表層的理解と深層的理解の対比

AIが示す「理解」は本質的に表層的です。膨大なデータから言語パターンの統計的関連性を学習していますが、真の意味での「理解」や「知恵」は持ち合わせていません。それは一見すると役立つ回答を生成できても、その回答が状況の微妙な変化に適応できない理由です。

対照的に、人間の深い理解は時間をかけてつちかわれます。経験を通じて獲得した知識は、多様な状況にも柔軟に適用できる本質的な知恵となります。すぐには答えが出なくても、じっくりと考え抜いた洞察は長く価値を保ち続けることがあるのです。

依存と能力の逆説

技術への依存度が高まるほど、人間の能力は弱まる傾向があります。計算機が普及した結果、多くの人が暗算能力を失ったように、AIへの依存は人間の能力を徐々に衰えさせる可能性があります。特に懸念しているのは、AIを利用している人の大半が18歳から25歳の人であることです。特に学生の利用率が高いようなので、便利な道具を使うほど、学ぶ意味がなくなるような気もします。

非効率に価値が発生する

時間と忍耐を要する活動は、一見すると「非効率」に見えるかもしれませんが、長期的には比類のない価値を生み出すことになりそうです。基礎研究のような領域です。「すぐには役立たない」かもしれませんが、その価値は時間とともに増すものです。時間とともに気がつくのではないでしょうか。

まとめ

「すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる」という格言は、目先の利益よりも長期的な価値を重視することの重要性を思い起こさせます。AIの例が示すように、即座の効用は魅力的ですが、持続的な価値は結局のところ自分で構築するしかありません。そう感じています。カン違いしてほしくないのは、役に立つ道具、ツールは積極的に利用すべきだということ。役に立たなくなることも想定しながら利用していくことだと考えています。

(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)

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