独自調査との差がこれほど

空き家問題。統計数値が実態とちがっていることがようやく指摘され始めました。空き家の数は約385万戸と言われてきました。ただ、これは調べた数値ではなく、空き家がこれぐらいあるだろうという数値をかけて計算した数値なのです。実態調査はできていませんでした。そんな中、独自調査した行政があります。世田谷区の独自調査では、
・883棟空き家
となりました。以前の住宅土地統計調査推計では23,840戸となっていたのです。実に22,900戸の差があります。他にも西東京市の独自調査では、
・875棟空き家
となり、国の統計データ3,110戸と2,200戸以上のちがいが見られます。両方とも大きく数値がちがうことがわかります。

市区町村によっては職員が現地調査をより厳密に実施しているところがあり、国の統計との差が明確になっている例がある。世田谷区では住宅・土地統計調査で23年10月に所有者や用途が不明な空き家が2万3840戸あると推計された。だが21年度の区の独自調査の結果は883棟だった。

「空き家」の捉え方の違いが、推計のずれを招いている可能性がある。国の統計で3110戸の空き家があるとされた東京都西東京市は、市の独自調査では875棟(23年7月時点)だった。市の調査は建物全体が空室の場合に空き家と判定しており、対策を講じる物件をより絞り込んでいると説明する。

空き家「全国385万」は過大か 世田谷は国推計の4%弱、政策混乱も:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA03C6B0T00C25A4000000/

解決数が少ない理由

空き家問題は、対策が行政が取り組んでいたり、民間とのタイアップで課題解決に取り組んでいます。しかし、実績が少ないイメージを持っていました。そもそも、空き家の数がちがうのではないか、と携わっている人も言っていたのを覚えています。
「そんなに空き家はないのではないか」
と感想を言っていたのです。独自調査の数値が出てくると、その感想が正しいと感じます。実績が出ないのも、母数の空き家数が少ないからだと分析できるのです。

空き家の種類

空き家にも種類があると思っています。
・完全な空き家
・月1回程度、親族が手入れに来る
・年に1回、2回、手入れをする
といった形に分かれるのではないでしょうか。年に1回でも人が来る、手を入れる、利用すると「別荘」のような扱いになると思います。完全な空き家の場合、電気、水道も止まり、朽ちていく状態になります。そうした、完全な空き家の数は、少ないということです。

時間がかかる理由

空き家の問題は、相続された方(所有者)が何もしないことです。自分が生まれ育った家なので思い入れがある。兄弟姉妹から実家をそのまま残して欲しい、と言われていたりします。そのため、貸すこともしない。現状維持で時間が過ぎていきます。家の中の片付けも行わない。ときどき行って、空気の入れ替えをする程度。そんな状況があるのではないでしょうか。そうなると、時間の経過とともに、最終的には決断すると思いますが、時間はかかります。思い入れや思い出が消滅する喪失感が薄らいでいく時間が必要なのです。

まとめ

空き家問題が表出するのは、もう少し時間がかかりそうです。ただ、一気に問題が大きくなる可能性は否定できません。そのときには、需要と供給がマッチせず、空き家を処分することが多発することも想定できます。そのためにならないためにも、今から課題解決に取り組む必要はありそうです。

(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)

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