本当に理解するまでの7つのプロセス

リーダーなら誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。「何度説明しても伝わらない」「分かったと言うけれど、本当に理解しているのか疑問」そんなコミュニケーションの壁に直面した経験があるでしょう。人が他者の意見を本当に理解し、納得するまでには時間がかかるものです。ただ、理解までのプロセスには再現性があります。今回は、その心理的メカニズムを7つの段階に分けて解説します。

理解に至る7つのプロセス

今回は7つの段階に分けて考えてみます。

第1段階:「相手の意見として聞いた」

最初の段階では、情報を純粋に客観的に受け取っています。「相手がそう言っている」という距離感で聞いており、まだ自分事として、とらえていません。感情的な関与も薄く、単なる情報として処理している状態です。

第2段階:「疑問がわいた」

情報を自分なりに解釈し始めると、既存の知識や経験との照らし合わせが始まります。ここで違和感や矛盾を感じ、批判的思考が働きます。一見ネガティブに見えるこの反応ですが、実は真剣に考え始めた証拠でもあります。無関心であれば疑問すら湧かないからです。

第3段階:「納得できる部分がある」

完全拒否から一歩前進し、部分的な理解や共感が生まれています。自分の価値観や経験と重なる部分を見つけ始めた状態です。この段階で、完全な対立から建設的な部分理解へと移行しています。

第4段階:「でも納得できない」

部分的な理解はあるものの、まだ全面的な受け入れには至っていません。理性では理解できても、感情的な納得や直感的な確信が得られていない状態です。多くのコミュニケーションが、この段階で止まってしまいます。進むときは、確認作業や質問が出てくる段階です。質問が出ない場合は、理解まで到達していないと判断すべきです。

第5段階:「事例を聞いていると腹に落ちた」

ここが大きな転換点です。抽象的だった概念が、具体的な事例によって「体感」として理解されました。自分の経験や感覚と結びつき、頭だけでなく心でも理解できた瞬間です。この「腹に落ちる」という感覚が、真の理解への扉を開きます。

第6段階:「自分の意見と同じところがある」

他者の意見が自分の既存の考えと重なる部分を発見することで、心理的な距離が一気に縮まります。相手を「敵」や「異なる存在」ではなく「自分の一部」として認識する転換が起きています。

第7段階:「それこそ、自分の意見だ」

最終的に、相手の意見を自分の言葉や文脈で再構築し、自分のものとして内在化しています。この段階で初めて、本当の意味での理解と納得が完成します。他人の意見だったものが自分の意見として述べている段階になります。

まとめ

「伝えても伝わらない」という悩みの多くは、このプロセスを理解し、相手の段階に応じたアプローチを取ることで解決できます。真のリーダーシップとは、相手を説得することではなく、相手が自ら理解し、納得に至るプロセスを支援することなのかもしれません。あなたのチームメンバーは今、どの段階にいるでしょうか。そして、次の段階に進むために、どんな支援ができるでしょうか。もう一度振り返りながら、考えてみてください。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆 from2011