先行事例がある
値上げ路線、という風潮が日本の小売業界にも広がっています。原材料高、物流費の高騰、そしてスタッフの給与アップのための原資を確保するためには、価格転嫁は避けて通れない経営課題。
しかし、いつまで値上げができるのだろうか。また、その「値上げ」の先に何が待っているのか。インフレで先を行っている欧州で起きている現象は、日本の小売業にとって参考になる事例だと感じています。
なりふり構わない
欧州では今、小売業界において変化が起きています。現地のインフレや生活コストの上昇に耐えきれなくなった消費者が、既存のブランドや地元の小売店を見限り、中国発の格安越境ECへと移動しているのです。かつては環境意識が高いとされた欧州の消費者でさえ、インフレが続くと「なりふり構わない安値追求」へとシフトしているのでしょう。
- 越境ECの台頭
中国の低価格プラットフォーム(例:Shein、Temu)は、圧倒的な低価格と品揃えで欧州に拡がっている
だれでも想像できる
これは、対岸の火事ではありません。日本でも全く同じ図式が少しずつですが進行しつつあるのです。これまで日本の小売業は、効率化することで「なるべく安価で良いもの」を提供してきました。しかし、円安とコスト高でその限界を超え、値上げが続いているのです。その先は、海外の通販へ移行していくのは、だれでも想像できる将来です。
「安さ」だけが消費者を動かす時代が来るのか
「安さ」だけが消費者を動かす時代が来るのかもしれません。日本はまだインフレがスタートしたばかり。これが1年後、2年後には今とちがう景色になるかもしれないのです。安さも1割2割安いだけでは移行しませんが、半額以下ならば、越境ECで購入しても良いと考えるのではないでしょうか。安さだけの競争の業界も出てくるのでしょう。
まとめ
価格に関しては、価格帯と消費者の反応を深く理解しておく必要があります。自分たちの顧客はどの価格帯に反応しているのか。もしくは、どの価格帯で反応し始めるのだろうか。これは業界によって異なりますので、自分が納得するまでその心理を追求するべきでしょう。今後は価格帯と顧客心理を深く理解した企業が先行すると予想しています。
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