「フェーズフリー」という考え方

日常の生活と、非常時の防災の境界線をなくすという考え方があります。防災グッズを日常から利用する考え方です。言葉としては、
・「フェーズフリー」
と呼んでおり、その考え方が注目されています。

普段使っているモノやサービスを、災害時以外でも役立てるという設計思想です。その方が意味が出ますし、利用することで防災グッズを購入する動機にもなります。

語源から知る意味

フェーズフリー(Phase Free)は、言葉の通り「フェーズ(段階)」を「フリー(なくす)」という意味から生まれた造語。生活には、平穏に暮らしている「日常時」と、災害などの不測の事態が起こった「非常時」という2つの状態があります。

これまでは、この2つの状態を切り離して考え、非常時のためには、普段使わない特別な道具(ツール)を用意するのが一般的。そのためか、防災グッズは売れない、備蓄しないのです。その課題を解決する方法のひとつがフェーズフリーです。これは、この日常と非常という2つの時間の壁を取り払い、どちらの状態でも自由に使えることを目指すのです。

備えない防災

これまでの防災は、備蓄や訓練といった日常とは切り離された特別な準備として考えられてきました。大型の浄水装置や発電機、ガソリンの缶詰など、防災グッツは数多く開発され、発売されています。しかし、特別な準備なので、必要だと分かっていても購入しない、準備しないものなのです。その点、フェーズフリーでは日常で愛用しているアイテムそのものに、非常時の機能を持たせているのが特徴です。

たとえば、普段はデスクライトとして使いながら、停電時には自動で点灯するライトや、日常の買い物バッグとして使いつつ、緊急時にはバケツとして水を運べる撥水バッグなどがその代表例です。

まとめ

フェーズフリーの考え方を取り入れると、防災グッズを揃えたり、購入するハードルが下がります。製品のコンセプトを変えることで、価値が変化する事例です。日頃から使うなら、購入してもよいと判断できるようになるのです。数年に1回、数十年に1度あるかどうかのできごとに対して、備えることは、心理的にムダに見えてしまうのが心理です。それを変えるために意味のある概念だと感じます。

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