周囲を巻き込む不満の伝道師

組織の中で、単に個人的な不満を抱えているだけでなく、周囲にその不満を積極的に「まき散らす」スタッフの存在がクローズアップされています。「不満まき散らし」スタッフの割合は意外に多く、その影響力によって会社に無視できないダメージが発生します。経営において、この問題は見過ごせないリスク要因となりつつあります。

若手スタッフが次々と辞めていく「見えない原因」

ある会社での事例です。特定の先輩スタッフと仲良くしていた若手が、次々と退職していくという事態が起きました。しかも、全員が会社に強い不満を持って辞めていったのです。何が起こったのでしょうか。

不思議に思い原因を探ってみると、親密な先輩スタッフが、休憩時間に「不満をまき散らして」いたことが判明。会社への不満、経営方針への批判、リーダーへの悪口などのネガティブ表現をしていたようです。それを毎日のように聞かされていた若手スタッフは、次第に「この会社にいても未来はないのではないか」と洗脳されるように不安を抱き始めます。聞かされた方が先に辞めるのも、このような事例の特徴です。不満を言っていた本人は会社に残ることがあるからです。

ネガティブな感情は感染力が強い

人の感情、特にネガティブな感情は強い感染力を持っています。プラスの感情は好意的に受け止められますが、感染力は低い。あまり伝わりません。しかし、ネガティブは先の先まで伝わっていく習性があります。「あの仕事は意味がない」「どうせ評価されない」と毎日のように聞かされると、防衛本能が働くので、自分の身の危険を感じるようになるのです。そして決断に至るという流れです。

聞かされていた内容はフィルターを通した脚色された内容であるのですが、聞いた本人にとってみればそれが真実に見えてくるのもここでは注意しておきたいところです。

まき散らす本人は辞めないという「矛盾」

さらに厄介なのは、不満をまき散らしていた張本人である先輩スタッフは、今もなお社内に残っているケースです。ここに大きな矛盾があります。「そんなに不満があるなら、なぜ本人は辞めないのか」と感じるはず。

実は、不満をまき散らすタイプのスタッフは、現状を変える気も、辞める気もないケースが多々あります。目的は、不満を口にすることで「共感」を得て、自分のストレスを発散することにあるから。周囲を巻き込んで「自分たちは被害者だ」という同盟を作ることで、居心地を良くしようとする心理さえ働きます。

まとめ

このように考えてみると、一人からスタートした発言が周りに大きな影響を与えていることがわかります。しかも発言した人が残り、聞いた側の人たちがやめていくという矛盾をはらんだ現象です。このような現象に関しては、原因を早急に突き詰めて対応する必要があるのではないかと、いつも思います。ただ見えにくいところではあるので、時間がかかることもあるでしょう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆