逆の動き

高市政権による財政拡大への期待と懸念が渦巻く中、市場では日本国債が売られ、利回りが急騰する「債券暴落」の危機が現実味を帯びています。こうした事態に対し、市場の一部では日本銀行による救済措置を期待する声もありますが、現実はそう甘くはありません。日銀は逆の方向で施策を進めているからです。膨れ上がった国債を減らすようにしてきました。徐々に、そっと、減らしているのです。時間をかけて減らす計画であり、金利急騰は避けたいと思いながら徐々に進行しています。それがここに来て、外部からブレーキをかけられた状態。

日銀が直面している極めて難しい判断が待ち受けているのではないでしょうか。

日銀は安易に介入しない方針

財政拡大政策への懸念から、国債利回りが急騰(債券価格は下落)していますが、日銀は安易に市場介入して利回りを抑え込むつもりはないとの見方が強まっています。日銀関係者によれば、介入へのハードルは非常に高く設定されています。

市場が動揺していても、日銀がすぐに助け舟を出さない背景には、これまで築き上げてきた政策の方向性を守るという強い意志があります。健全化に向けて時間をかけて取り組んでいるので、そう簡単に方向転換できないのです。

介入をためらう2つの大きな理由

なぜ日銀は、目の前の金利上昇に対して慎重な姿勢を崩さないのでしょうか。そこには2つの大きなリスクが存在します。

1. 円安加速のリスク

債券を買って金利を抑え込む「介入」を行うと、市場には「金融緩和に戻った」と受け取られ、さらなる円安を招く危険があります。現在、政府やスタッフ、日銀は円安による輸入コスト増と、それに伴うインフレを強く警戒しています。金利を抑える動きは、この円安対策と真っ向から矛盾するため、どちらを選択するのかに迷う状態。究極の選択を迫られています。

2. 財政規律の維持

今回の利回り上昇の主な原因は、あくまで「日本の財政悪化への懸念」です。これに対し日銀が安易に手を差し伸べれば、政府の借金を日銀が肩代わりする「財政ファイナンス」と見なされる恐れがあります。一度そうした認識が定着してしまうと、日銀の信頼性は失われ、日本国債そのものの価値がさらに損なわれるという悪循環に陥りかねません。海外の機関投資家から狙われてしまうでしょう。

今後の焦点

現在の特徴は海外のメディアが日本のことを取り上げるようになったことです。しかも、政策に関して懸念を抱いているという論調で語られているので、その点は見逃したくありません。日本の国債も部分的には海外の投資家が購入しています。その判断も部分的に正しいとみなすべきと感じます。

Exclusive: BOJ won’t come to the rescue of a Takaichi-driven bond rout(独占記事:日銀は高市氏主導の国債暴落を救済しない)ロイター
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/boj-wont-come-rescue-takaichi-driven-bond-rout-2026-02-04

まとめ

それにしても、海外メディアが「日銀は救済しない」と書いたのでしょうか。日本のメディアは書くことを躊躇するから海外のメディアに言わせたのでしょうか。日銀のホンネがそこに見えてきます。どちらにしても、「選択肢」は限られており、場合によっては、選択肢が少なくなっていく状況にあることは認識しておきましょう。

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